家を建てる前に老後準備をしてはいけない

一見、正しいようで正しくないこと。

 

あなたに関係するところだと身近にはこんなものがあります。

 

例えば、あなたが老後に国からもらう公的年金。

 

ワイドショーなどを見ると、

 

「運用がうまくいっていない。大きな赤字を出している。」

 

「年金財政は破綻している」

 

こんなことがよく言われています。

 

これは一見正しいことのようですが、一方でこんな事実もあります。

 

実は公的年金の運用は…

2001年から2014年末までの間に…

”47兆円”もの利益を出しています(!)

 

その途中に世界同時で株価が下がったリーマンショックの年は、

さすがに9.3兆円のマイナスだったのですが、

それを含んでも長期で見たら47兆円のプラス。

 

例えば確かに先月比でみれば前月よりマイナスという月は当然ありますので、

ここに注目すれば年金は「マイナス運用!」ということができます。

(こうみると結構、無理やりですよね)

 

しかし、本質的なところ(長期ではプラス)というところにはあまり触れません。

 

なぜでしょうか。不思議です。

 

 

短期より長期で見る視点を持とう

 

あなたの家計にもこれと似ているものがあります。

 

まさに今話題に挙げた根拠があまりない

 

「公的年金は破たんする」

 

という文句の救世主として保険で積立をしましょうという誘いです。

 

公的な保障がうまくいってなければ自分で準備しなければいけない。

 

たしかに、間違ってはいません。

 

そして、自分でも準備しておいた方がいいに決まっています。

 

でも、なんでこんなことを言うかって、

 

それは多くの方が危機感を持ちすぎて(煽られすぎて)

過剰になりすぎてしまうという問題が発生しています。

 

そしてそれを不安に感じて月々5万円を積み立てをスタート。

最近こういう方が多くなった印象を受けます。

 

しかしこういった積立を「定期預金」でしていれば全く問題がないのですが

生命保険の場合は解約ペナルティがあります。。

(途中解約すると元本は戻ってきません。)

 

それを途中解約しなければいいだけの話なのですが、

老後のためにと頑張って貯めようと思っていたお金は、

満期まで払い続けるられる人の方が少ないのが現状です。

 

ということは、老後のためにと思って始めた保険では

損をしている人の方が多いのです。

(過去の私もそうでした。)

 

この事実を覚えておくとよいでしょう。

 

家を買うと家計は劇的に変わる

 

多くの方が結婚して比較的すぐにこういう積立型の保険に入っています。

時代の流れなのか、月4万円~6万円くらいとかなりの高額です。

 

加入時は子どもも小さいし(もしくはまだいないし)、

住宅ローンもないので月々数万円の積立を行うのは可能でしょう。

 

しかし、それから5年後の家計を予測してみてください。

 

子どもが産まれて…

妻が育休で毎月の収入が減り…

家賃以上の住宅ローンがスタートし…

家を所有したら固定資産税の請求がきて…

 

とこのようなことが待ち受けています。

嫌でもそうなります。

 

さらに、子どもの教育費が本格的にかかってくると、

はじめに余裕だった毎月数万円の積立をすることは……

 

想像できますよね?

 

かなり辛くなります。

 

保険の見直しを検討するのは住宅ローン金額確定後

 

生命保険を見直すタイミングはどこが一番適切なのか?

 

ベストのベストの話をすればそれは住宅ローンの借入金額確定後でしょう。

 

それはなぜかというと、

 

住宅ローンの毎月の返済額がわかれば今後の家計も詳細にイメージできるようになります。

 

住宅ローンには“実質無料”でローン分の生命保険が付いてくるので、

その分を民間で重複させるとその分が無駄になります。

 

もしあなたがこれから家を買う予定があるのであればこの時点で保険の見直しをかけるのが最も無駄がなくいくのではと思います。

 

その結果、老後に貯蓄できるお金がありそうな場合は老後に向けて準備を本格的に考え始めると良いでしょう。

 

しかし残念なことに、この状態で例えば月5万円を老後のために回せる人というのは、私の経験則ですが全体の1割もいません。

 

長い目で見れば無理のない借入額さえしっかり守っていれば家を建ててからもお金は貯まりますが、

家を建てた直後っていうのは本当にお金がないんです。

 

 

老後への積立は“保険”だけではない

 

そもそも、老後への積立方法としての選択肢は生命保険だけではありません。

 

家を建てるときに、工務店、設計事務所、ハウスメーカーなど色々あるように、

 

老後への積立方法も

 

・定期預金

・投資信託

・確定拠出年金

・個人年金保険

・生命保険

 

などたくさんあります。

 

「定期預金なんて増えないから無駄」

と考える方も多いでしょう。

 

たしかに間違っていません。

 

しかし、今後あなたが家を買う予定があるのであればまとまった現金が必要になる場面があります。

 

そのためその時までは、

 

”増やすよりもなるべく、減らさないようにしておく”

 

これがコツになります。

 

これを誤ってしまうと、積み立てたものを解約すると損をするから解約はしたくない。

でもそれ以外にお金がない、どういよう…ということになります。

 

そしてその損を受け入れることができずに最後までこだわってしまうと、

 

本当は家を建ててからもお金に全然余裕があったのに、

高額な保険契約で老後にお金を送ることにこだわりすぎて

肝心な現役世代にお金が残らないという事例がよく起きます。

 

金持ち老後のために無理なペースの強制貯蓄をしすぎてしまうと、

最も楽しいはずの現役時代にお金に苦しみあなたの人生を楽しめなくなります。

 

※収入はあるのに無理して老後に送りすぎているという事実です。

つまり人生で必要なときにお金がなく、もうそんなに使えない時に大量の貯金が残る。

こんな感じです。

 

もしそれさえなければ同じ収入と支出でもお金に困らない一生を送れたはずなのに、

それに気づかずに家計を最後まで締まった行ってしまった場合は正直悲しすぎますよね。

 

つまり家を建てる前は、目的別に分けないでとりあえずただひたすらに現金で貯金しておいてください。

 

こういうことです。

 

色々考えるのは家を建てることを決めたときからでも全然遅くありません。

昆 知宏
新潟住まいのお金相談室代表。新潟の住宅会社の営業マンとして働いた後、売り手の立場ではなく買い手の立場に立って住宅購入の相談ができる場所を作る為に独立した。

保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。

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