第四北越銀行が、これまでとは異なるコンセプトの住宅ローンの取り扱いを開始しました。
最近の第四北越銀行は、変動金利において金利の低さだけを見れば競争力を失っていた状態でした。
ですが、個人的には「群馬銀行との合併までは大きな動きはないだろう」と思っていました。
ところが従来の商品もそのまま残しつつ、ここにきて新しいタイプの住宅ローンで勝負をしてきました!
このことで、これから家づくりを検討している方の選択肢として、第四北越=新潟のキングとして再び存在感を発揮しはじめた印象です。
では早速、どんな商品なのかを見ていきましょう。
最低金利は変動金利0.6%から
2025年6月現在の最低金利は、かなり低水準です。
ネット銀行を下回るレベルで、「おっ、これはすごいな」というのが第一印象でした。
では、0.6%の金利が誰でも適用されるのか?
というと、そうではなさそうです。
パンフレットを読み解いてみると、
・原則として金利は0.8%からスタート
・審査結果によっては引き上げられる可能性あり
そして、最も低い0.6%を適用するには、以下の6つの条件を満たす必要があります:
- 借入金額が物件価格の90%以内(=自己資金10%以上)で▲0.05%
- 給与振込口座を指定▲0.05%(夫婦連名で夫婦ともに指定ならさらに▲0.05%)
- NISA口座を第四北越銀行で開設▲0.05%(夫婦連名でさらに+▲0.05%)
- 定期預金または投信の預かり資産300万円以上▲0.05%
- 第四北越銀行で投信積立を契約▲0.05%
- 法人ポータル契約企業の従業員▲0.05%
どうすれば最低金利を狙えるのか、詳しく見ていきましょう。
なお、6については勤務先次第で個人では選べないため、ここでは割愛させていただきます。。

単独申込で最低金利を狙うケース
金利を0.6%にするには、スタートの0.8%から合計0.2%のマイナスが必要です。
達成には以下のような組み合わせが現実的でしょう。
- 頭金10%以上:▲0.05%
- 給与振込指定:▲0.05%
- 定期預金300万円以上:▲0.05%
- 投信積立契約:▲0.05%
→ 合計:▲0.20%
これなら達成可能ですが、条件としてはややハードルが高めという印象です。
夫婦連名で申し込みのケース
・頭金10%以上 :▲0.05%
・夫婦ともに給与振込指定:▲0.05×2=▲0.1%
・定期預金300万円以上 :▲0.05%
→ 合計:▲0.20%
これならNISAや積立投信を利用しなくても、上限に届きそうです。
それでも条件は厳しめですが、該当する方には十分魅力的です。
もし定期預金よりもNISAや積立投信を!と考えている場合は、
- 夫婦でNISA:▲0.05% ×2
- 夫婦で給振:▲0.05% ×2
この組み合わせで最低金利に届きます。
私の印象では、おそらくこの形が銀行側として一番取ってほしい構成なのでは?と感じました。
一方、NISAはネット証券を利用したい、と考えている方にとってはこれが最適とは限りません。
この住宅ローンは資産面での「入金力」が求められる商品設計になっているようにも思います。貯金が豊富な方には向いているかもしれません。
最低金利は「死亡保険のみ」
この条件をクリアし、最低金利をゲットできた方、おめでとうございます。
しかし、ここで話は終わりません。
最低金利の0.6%には、第四北越銀行が従来強みとしていた「がん保険」は付帯していません。
セットされているのは、一般的な団体信用生命保険(=死亡保険)です。
つまり、がん保険を追加するとせっかく減らした金利が上乗せされます。

申し込み人1人でがん保険をセットする場合
- A:通常+0.1%
- B:雪国ZEHなら+0.05%
新潟県で「雪国ZEH」で申請する方はそれほど多くないでしょう。
とすると、通常は+0.1%。
結果として 0.6%+0.1%=0.7% になります。
0.1%増えたとはいえ、この水準であれば、十分競争力のある金利と言えるでしょう。
申込人2人(夫婦連名)でがん保険をセットする場合
申込人2人(夫婦連名)でがん保険をセットする場合:
- A:ZEH以外 +0.3%
- B:ZEH +0.25%
- C:雪国ZEH +0.2%
多くの方はBの「+0.25%」になると考えられますので、
最低金利0.6%+連生がん保険0.25%=0.85% となります。
「夫婦連生(れんせい)」とは、夫婦のどちらか一方が死亡またはがんと診断された場合に、住宅ローン残高が全額免除となる保険です。
この条件で0.85%であれば、相当な競争力を持つと言ってよいでしょう。
この住宅ローンは「手数料定率型」
このローンは、諸費用面でも従来の第四北越の住宅ローンと異なります。
大きな違いは、「保証料型」か「手数料型」か という点です。
保証料型:一部返金の可能性がある(預け金のような扱い)
手数料型:完全な掛け捨て(ネット銀行やフラット35に多い)
住宅ローンの諸費用はどちらもおおよそ借入額の2%程度です。
たとえば、3,000万円を借りた場合、約60万円。
保証料型では30年返済のローンを15年で完済した場合、半分程度が返金される可能性があります(実際はもうすこし少ないですが)。
一方、手数料型では最初に60万円を払いきりです。返金はありません。
一見、返金される保証料型の方が得なように思えるかもせれません。
ですが、返金のためには「完済」が必要となるので、あなたが「借り換えしたい。」と考えた時の足枷となりえます。
つまりこの商品は、構造的にはネット銀行型に近く、「借り換えニーズ」にも対応する商品設計だと考えられます。

完全に営業目線の感想ですが、新築でかりる方だけでなく、
窓口でNISA口座開設を希望される顧客に、「NISAを開くと金利優遇があるので借り換えもいかがですか?」
と、併売セールスがしやすそうな商品だなと思いました。
個人的な結論
全体を見渡してみると、条件を満たせる人にとっては非常に競争力のある商品です。
特に「NISAを第四北越銀行で開設してもよい」と考える人にとっては、最低金利を取りやすく設計されています。
ただ、私個人の場合はNISAや投資はネット証券一択、給与振込の指定もないため、条件を満たせず最低金利は難しい。良さを活かせないな、という印象でした。
つまり、「人を選ぶが、ハマる人には強い」という商品です。
審査次第では全く希望通りにならないこともあり得る
なお、パンフレットには小さく「金利は当行所定の審査により決定いたします(年0.8~1.4%)」と記載があります。
つまり、実際に自分のベース金利がいくらになるかは審査次第です。
ここが分からない限り、この商品が「ベスト」と言えるかどうかの判断はつきません。つまり審査してみないと、あなたに適用される金利が分からないということです。
そのため、ある程度計画が固まった段階で早めに審査を受けておくことが、スムーズな家づくりにつながると感じました。
当相談室の相談者の多くは、私と同じようにNISAはネット証券一択と考えている方が多いためそういった読者向けのアドバイスとしては、資金力の有無によっては候補に挙がる可能性がありますというのが私のこのローン見解となります。
ただ直近の相談事例を追っても、当相談室の事例ではこのローンがベストになる方はそこまで多い印象はありません。
ライフプランをじっくり精査したのち、ハマるひとにはぜひおすすめしたい商品ということです。
PS
住宅ローンは金利も大事だけど、もっと大事なのは借入額です。
そもそも返済できる力があるのかを事前にしっかりと把握しておきましょう。
マイホーム予算診断サービスでは、あなたの家計の無理のない借入金額をズバッと算出いたします。
保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。