木材がない。
当然ながら、木がないと家が建たない。
ニュースではあまり報道されないのですが、住宅業界が今大変なことになっています。
家を建てるために必要である木材の海外からの供給ラインが弱まってしまい木材価格が急騰している、物自体がないという状況になっています。業界ではこれを「2021 ウッドショック」と呼んでいます。
私も当初はどうにかなるだろうと甘く見ていたのですが、どうやら事態は思ったよりも深刻であなたにも影響を及ぼす可能性が高くなってきました。去年の今くらいもコロナの影響でトイレや換気扇が入ってこない...なんてことになっていたのですが、今回は「木」そのもの
これは困ってしまいます。
最近の世界的なV字景気回復により、住宅・建築投資が爆発的に増えていることから木材の需要と供給バランスが完全に崩れてしまっというのが事の発端です。
需要に対して供給が少なくなると買占めが起こります。
買いたい人が殺到するわけですから、値段はどんどん上がっていきます。
今はこの連鎖になってしまっており木材価格は過去最大まで跳ね上がってしまっているのです。
木材先物価格でググってみる
※木材先物価格1年の動き、2021年4月23日
「うわ、これは過熱感」がすごいと一目で見て取れます。
この記事を書いている時点で過去最高値をつけているあたりから判断するとしばらくコトが収まらないようなことを表しているように思います。1年前の3倍くらいの価格になってしまっています。
ガソリンも原油の価格に連動してガソリンスタンドで価格がつきますがもちろん家だって今後この価格が影響していることは必至です。
これから先の見積もりについては木材価格の上昇を織り込んだものになってくることが確実。
大手などは数か月分の在庫を先にストックしているでしょうからその分を消化するまでは価格を据え置きできるかもしれません。
しかしこれだけ価格が激しく動くとなると家の見積もりもいつまでも同じでOKといかず数か月ごとに見積もりは変動するいわゆる木材は「時価」でつけたいというのが業者の本音でしょう。
2021年6月現在坪単価にして2万円以上の値上げが業者によっては既に始まっている状況です。30坪程度の2階建ての建物で60万円の値上げになっている感覚です。先に見積書提出していても木材部分は変動する可能性があるという備考書きを入れる業者が増えてきました。
住宅見積価格全体における木材部分というのは2,000万円くらいの家に対して50~60万円ほどです。
それなりに大きいですね。2021年7月以降は値上げに踏み切る業者の情報も続々と出てきており、住宅価格はしばらく上昇していきそうな勢いです。
価格が上がるのは消費者としては嫌ですが、それ以上に懸念されていることがあります。
そもそも木材が入荷しないのではないか
住宅会社も「木」がないと仕事になりません。
価格が上がるだけであればまだ何とかやりようがあるのですが、そもそも木材が入ってこなくなるとこの問題は大きくなってしまいます。
流通量は少なくなり価格が高騰するのは既定路線ですので工務店なども、工事のやりかたを変えたり代替品を模索したりいろいろな動きがあります。新潟の工務店の多くは建物の着手から数か月前に材木屋さんに個別に発注をかけていくため、材木屋さんがどれだけ材料を取れるかやこれまでの関係性による供給順序というのが現実になっています。
しばらくは市場の状況に左右され工期が読みづらい状況が続く見込みですが、工務店さんもいろいろな方法を考えているのでまずは代替提案を受けるのが一番ですね。
資金面への影響はあるのか?
この記事を読んでいる方の多くは、また住宅工事開始前だと思います。
住宅ローンをスタートさえしてなければ資金面での影響は工事が遅れた分の家賃損失のみになります。
こればっかりは仕方ないですね。
土地だけを先行してローンを組んだ方は着工が遅れた土地分だけのローンを支払う期間が延びますが、元本も減っているので致命的なダメージにはなりません。家賃とのW支払いになっていればその期間は耐える必要があります。
状況を見つつ住宅会社と相談して、工事期間や値上がり可能性幅を早期をつかんでいくと、資金計画は強固なものになるでしょう。
もし木材価格の高騰により見積もり価格の変化も生じるようであれば、資金計画も考えなおす必要があります。
特に自己資金を少なく計画していて当初申し込んでいた融資額を増額せざるを得ない場合は、再審査となってしまうため、あとで融資が出ないと大変なことになってしまいますから早めにいろいろと銀行と詰めておいたほうが良いといえます。
ここから半年程度は荒れそうですので、これから家づくりを考えている人はこんなことが今起きているんだということを理解しておいてください。
とはいえ木材価格の急上昇を見ているとグラフだけ見ると、バブルなのは一目瞭然。
今後も木材需要が以前にも増して高くあり続けるかどうかは微妙で、時間と共に落ち着いてくるのではないかと私は見ています。
PS
木材先物市場はやろうと思えばなんとあなたも投資をすることができます。
もっと価格が上がると思えば利益を上がられるし、いやもう落ち着くだろうと思えば利益を上げることができる。
(もちろん逆の損もしかり)
こんな感じでマネーゲームに私たちの家が巻き込まれるとあまりいい気持ちはしませんよね。
あるかないかは分かりませんがいつかの将来、住宅ローン金利が上昇したときはパニックになってしまう人が多いような気がします。予測出来ないことって、ある日起こるのが常ですよね。
ただそんな時でも、住宅ローン金利が上昇することによって利益を受け取る人もいるということです。
あなたの損失が誰かの利益になる。
金融商品のこんな特性を知ると住宅ローン選択の考え方もまた違う見方になるかもしれません。
マネーゲームみたいな木材価格を見てそんなことを考えてしまいました。
保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。