【超基本】家づくりにかかるお金のすべてを解説

施主
家を建てる時のお金って結局全部でいくらかかるの?

住宅会社のホームページや住宅雑誌などを見ても、結局よくわからないことが多いですよね。

例えば
『本体価格1,900万円』と書いている住宅が気にいる
→「2,000万円以下で建てられるなら、すごく良いよね」
→ その会社にコンタクト取ってみた
→ 実際の総額は2,700万円!

こんな話はよくあるものです。

家の本体は1,900万円で建てられるけど、
水道や電気を使うためのインフラ工事費や、エアコンやカーテンなどの必需品、そして地盤改良や駐車場工事などのいわゆる『外構工事費』、銀行へ支払い費用や家を建てることによって発生する税金なども含まれていません。

これらの項目は、会社によって表示が異なります。

どこまで含まれているか、含まれていないかが大きく異なっており、規制や統一基準がありません。
単純に表面上の価格だけ見ても意味がなく、実際はそれ以上に大きなお金がかかることが一般的なのです

住宅会社すべて統一の価格提示のルールができれば、私たちとしては助かるのですが…。
業界を通じてどうしても『とりあえず最初は安く見せたい』という風潮があるので、なかなかそれは難しいかもしれません。

となるといざ家を建てる時、実際にどんなお金がどれだけかかるのか
あなたに予備知識がなければ、予想以上のものになるかもしれませんよね。

家づくりにかかるお金のすべてを一緒に学んでいきましょう。

家づくりにかかるお金の大きな分類

家づくりにかかるお金は、大きく4つに分けられます。

これらの4つの合計が、あなたの家づくりにかかる総額となります。

ひとつずつ、順番に見ていきましょう。

土地購入費とは?

土地の購入費は、インターネットやチラシに書いてある金額そのままです。
表示されているそのままの金額なので、分かりやすいですよね。

例えば、SUUMOで「新潟市 中央区」の土地情報を検索してみると以下のような画面が出てきます。

※引用元 https://suumo.jp/tochi/niigata/sc_niigatashichuo/nc_96056372/

ここに書いている販売価格が、土地の値段になります。
人気のエリアはもちろん高いですし、面積が広ければ総額も高くなります。

予算内に納めるには、エリアや広さを検討していく必要がありますね

土地「購入」の際には、それ以外の諸費用も発生します。
分かりやすくするために、諸費用については後ほどまとめてご説明しますね。

建物本体工事費とは?

建物本体工事費は、純粋に、その建物を作るための費用です。

※引用元:ハウジングsumica vol.6P28-29

こんな感じで建物本体価格の表示をしている雑誌や公式サイトをよく見かけます。

住宅会社の情報がザックリ一覧に乗っている時、坪単価が記載されていることも多いですね。
この坪単価表示も本体工事費を指すことが多いです。

※引用元 ハウジングsumica vol.6 p190-

大体の家の予算を知りたい時、あなたはどう計算しますか?

施主
坪単価 × 坪数 でしょ!

例えば…
【3LDK希望】1階と2階の総面積(延べ床面積)が約32坪
   32坪×40=1,280万円
この住宅会社でコストを抑えめにお願いして
「1,300万円くらいで家を建てられるのかな?」

どんなにかかったとしても
   32坪×60万円=1,920万円
「2,000万円あれば全然現実的だよね!」と、予想してしまいますよね

ところが、これはあくまでも本体工事費です。

1,300万円で家を建てるのはどう考えても難しく、
1,920万円でも注文住宅であれば、住める状態にするのは難しいでしょう。

「住める状態」にするために、ここにプラスしてかかるのが『別途工事費』です。

別途工事費とは?

家づくりの予算を複雑にしている『別途工事費』。

住宅会社さんも、全部まとめた値段を載せればいいのにねえ!

住宅会社がどうして本体工事費と別途工事費を別々に表示するかというと、別途工事は人によってかかるお金が違うからです。

例えば、地盤改良。
そもそも地盤改良が必要ない=0円の人もいれば、
地盤改良する人も、土地の強さで費用が大きく変わってきます。

オール電化の人にガス工事が必要なかったり、カーポートがいらない人がいたり。

全くパターン化出来ないのが別途工事費なんです。

なので、この費用を本体価格に入れてしまうと
家そのものでの単純な比較が出来ない!

というわけで、本体工事費と別途工事費は分かれているのです。

では別途工事にはどんなものがあるか、見ていきましょう。

  • 給排水衛生設備工事
  • 電気設備工事
  • ガス工事
  • 上下水道引き込み工事
  • 外構工事
  • 照明器具工事
  • 空調設備工事
  • カーテン工事
  • 解体工事
  • 地盤改良工事

上から順番に解説していきますね。

費用を左右する項目もあるので、がんばって読んでいただけると嬉しいですが
「細かいことは良いよ!」というかたは、『諸費用』の解説へどうぞ

給排水衛生設備工事とは?

水道メーターと付けたり、宅内で水道を使うための給排水工事にかかる費用

電気設備工事とは?

電灯・スイッチ・コンセント・インターホンなどの配線工事や取り付け工事

ガス工事とは?

宅内でガスを使うための配管工事です。
ガス普及のため、ガス会社が引き込み工事を行ってくれることもあります。

上下水道引き込み工事とは?

道路から宅内に水道管を持ってくる工事です。
自治体指定の業者が行います。土地によって、水道管の距離や工事難易度が変わり、金額が異なってきます。

外構工事とは?

家の外回り、いわゆるエクステリア工事です。
・コンクリートを打つ
・カーポートやフェンスを設置
・境界線にコンクリートブロックを積む
・シンボルツリー・植栽
といった費用ですね。

新潟は雪の問題でカーポートを設置する方がかなり多いので、駐車場だけで100万円くらいはかかってしまいます。
庭をどこまで凝るかはその人次第なので、外構工事費はかなり個人差があります。

カーポート工事だけを安く上がるホームセンターに依頼する方もいますね。

また忘れがちなのが、土地に高低差がある等で、建物を建てるために土を入れたり捨てたりする費用。
境界のコンクリートブロックが古いまま引き渡しであれば、そのブロックを修繕したり撤去したりする費用もかかります。

土地によって大きな費用が発生する場合も。土地を買う時は、余分な高額費用がないか十分に注意する必要があります。

安く売りに出ている土地は、家を建てられるようにするには水道関係の費用や外構工事費用が大きくかかるから安くしていることがあります。

その場合、結局高くついてしまうことも多いです。
あとで「損した!」とならないように、安易に飛びつかず、不動産屋さんからの説明を十分に受けるか、住宅会社からのアドバイスを求めてください。

照明器具工事とは?

照明器具を買ったり設置したりする費用。
一般的な照明なら、本体工事費に含んでいる業者の方が多いです。
印象的なデザインの照明や、シャンデリアのような高級品を設置する場合は別途計上されます。

空調設備工事とは?

エアコンなどの費用です。
エアコンの機能と台数によって金額が異なってきますので、本体と設置費は別に計算するパターンが多いです。
一般的な大きさの家であれば、40~50万円ほどです。

最近は全館空調システムを採用する会社も増えてきました。
その場合、初期コスト以外のメンテナンスコストもしっかり検討する必要があります。

カーテン工事とは?

カーテンやブラインド、ロールスクリーンなどの購入・設置費用。

・住宅引き渡し後に自分で家具屋さんなどで購入
・カーテン専門業者を紹介してもらい売り合わせ
この2つのケースがよく見られます。

ニトリなどの量販店で買えば費用はかなり抑えられますが、断熱がしっかりしたものやデザイン性の高いものは、単品で10万円以上するものもあります。

解体工事とは?

建物の建て替えをする場合にかかります。
3LDKの一般的な家で200万円前後。
家の中の家具家電もまとめて処分する場合は、別途費用がかかります。

お庭が立派で大きな木や石がある場合、撤去にさらに費用がかかります。特に大きな石を処分するのはとても大変なようです。

解体業者は、住宅会社とは別の業者が工事をするケースがほとんど。相見積もりを取って、費用を比較することをおすすめします。

地盤改良工事とは?

軟弱地盤の場合に補強にかかる費用です。
新潟は軟弱地盤がほとんどですから、9割方必要と思った方がよいでしょう。

費用は60~140万円くらいで、最も多いのは80万円くらいの印象があります。
元・田圃を開発した土地は、特に地盤改良費用が高くなる傾向です。


このように、普通に家を建てるだけで別途工事費はいろいろと発生します。
大まかな目安としては、建物別途工事費はだいたい建物本体価格の15~20%前後。
※住宅会社によっては、いずれかの項目が本体工事費に含まれている場合もあります。

これまで見てきたように、土地の条件やあなたが要望する範囲によって、費用が大きく異なることが分かりますよね。

住宅会社としては、人によって変化するものまで含んだ価格表示では高く見えてしまいます。
印象的にも不利ですから、あくまでも誰でも価格が一緒になる建物本体価格の提示にしていることが多いのです。

打ち合わせが具体的になったら、
何が入っていて何が入っていないかをしっかりと確認をしておく必要があります。

次に解説する諸費用もそうです。

人によってどの銀行で借りるかの資金計画も違うので、なんとも明示するのが難しいのです。

つまり『建物別途工事』『諸費用』があなたを混乱させてしまう材料。
長くなって少し面倒になっているかもしれませんが、
ここを明確に理解することで全体の資金計画が立てやすくなってくるはずです。

諸費用とは何か?

土地を買って、建物を建て、本体工事費と別途工事費がある。ということが分かりましたね。
ですが、かかるお金はまだこれで終わりではありません。

工事や土地建物以外にかかる諸費用があります。
諸費用は、全体計画費用の5~10%ほど。

3,000万円の計画費であれば150~300万円。
資金計画に入れ忘れていると、かなりキツイ額です。

具体的は以下のようなものがあります。

  • 土地購入時の仲介手数料
  • 土地購入時の名義変更費用(登記料)
  • 金融機関への事務手数料
  • 住宅ローンの保証料
  • 印紙代(税金)
  • 建物完成時に国への登録料(登記料)
  • 祭事費
  • 引っ越し・仮住まい費用
  • 行政や関係機関などへの申請料

順番に見ていきましょう。

土地購入時の仲介手数料

土地購入時の仲介手数料は、物件価格の3%+6万円+消費税 が上限です。

例えば
1,500万円の土地を不動産業者経由で購入
1,500万円×3%=45万円  
6万円を加算して51万円  
➡消費税込み 561,000円 のお金がかかります

よほど大きな金額の取引ではない限りは、基本的に上記の上限の額での請求が一般的です。

土地購入時の名義変更費用(登記料)

土地を購入した場合、今までの持ち主からあなたへと名義変更の手続きを取る必要があります。
これを『所有権移転登記』と呼び、司法書士という資格を持った先生が手続きを行います。

土地の価値によって税金が異なりますので、評価の高い土地を買うほど費用が上がります。
目安としては20万円から30万円(価値のある土地はもっと)くらいです。

金融機関への事務手数料

事務手数料は、金融機関によって異なります。
第四北越銀行などの地方銀行では55,000円(税込)が一般的。
ネット銀行は借入額の2.2%が最も多いです。その場合は、3,000万円借りれば 66万円にもなります。
新潟県労働金庫は組合員であれば、事務手数料は0円です。

事務手数料の大小より『支払う利息の総額』でいくらになりそうかをしっかりと比較をする必要があります。

住宅ローンの保証料

住宅ローン借り入れには連帯保証人が不要です。
代わりに必要なのが、銀行の保証会社への保証料。

費用としては35年返済の場合は、借入額の2%ほど見ていくとよいでしょう。3,000万円の場合、60万円ほどです。

ちなみにネット銀行の事務手数料が2.2%(税込)タイプの場合は、保証料不要。フラット35も、保証料は不要です。
事務手数料と保証料でダブルで2%かかるというパターンはありません。
保証料にしても事務手数料にしても、いずれかでだいたい借入額の2%ほどかかってくると思っておいてください。

土地から購入する方は、仲介手数料と銀行の事務手数料か保証料だけであっという間に100万円以上の諸費用がかかります。

火災保険料

火災保険料は、だいたい年間2~3万円。
10年一括で加入することもできますので、その場合は20~30万円ほどです。

近年は大規模災害が多く、保険会社も損を恐れています。
今後10年一括払いはできなくなり、最長5年一括払いとなる見込みです。

この他に国が管理している地震保険も加入する場合は、物件の価格にもよるのですが年間2~3万円ほど。両方加入すると、まあまあの金額となります。

印紙代

土地や建物を契約するとき、銀行ローンを契約するときにかかる税金です。
全部で3万円前後が一般的。最近は契約書を紙ではなくオンラインでするケースも増えてきており、その場合は印紙税はかかりません。

建物完成時に国への登録料(登記料)

登記代は、土地・建物を買った場合に、その所有者があなたであることを示す手続きです。
司法書士や家屋調査士といった資格を持った先生方に依頼します。
費用は土地や建物の評価額にもよりますが、土地から買う人は平均40万円ほどかかっていますね。

祭事費

建物を着工する前に行う地鎮祭、建物の屋根が上がった時に上棟式を行う場合にかかります。

地鎮祭の相場は、2~3万円。
90%くらいの方が地鎮祭を行います。
上棟式は大工への祝儀や振る舞い費用などを換算すると5~10万円程度かかります。
昔は「餅まき」「だんごまき」といって新築が建つと上棟式をやっている家が多かったのですが、最近は10%くらいだと言われています。

引っ越し・仮住まい費用

新居への引越し費用は、通常期だと10万円くらいが相場でしょうか。
3月の繁忙期になると、数十万円の引っ越し費用が掛かる場合があり注意が必要です。

建て替えの方の場合は、別途工事中の仮住まい費用もかかってきます。

行政や関係機関などへの申請料

申請料は、建物を建てるにあたり行政に届け出をしたり、第三者の検査を受けたり、補助金を取るために公的な書面を作成したりする必要になります。

住宅会社からも見積もりにも記載がされているはずですが、申請料は必ず30~50万円ほど発生する意外と大きな諸費用です

ケーススタディ:結局いくらかかるのか?

新潟市在住のAさんは、土地を1,500万円で購入し、雑誌を見て気になる住宅会社を選んでいるところです。

その中に、建物本体坪単価55万円と書いてある住宅会社が気にって、3LDK+和室の大きさ35坪ほどの家を建てようかなと思っています。

土地は、1,500万円。

建物は、55万円(坪単価)×35坪(大きさ)=1,925万円。

合計3,425万円ですから、予算3,500万円くらいでオーバーした分は貯金から出そうかなと漠然と考えていました。

さあ、この資金計画についてあなたはどう思いますか?

ここまでのおさらいですね。

家づくりには、大きく分けて4つの費用が掛かります。
それは『土地購入費』『建物本体費用』『建物別途工事費用』『諸費用』でした。

Aさんは、『建物別途工事費』『諸費用』の存在をあまりよく理解していないようです…。

計算してみましょう。

■ 別途工事費は、本体工事の15~20%。
 間をとって17.5%としますね。
建物本体坪単価55万円×35=1,925万円。これの17.5%は、336万円となります。

ここまでの合計は、1,500(土地)+1,925(建物本体)+336(別途工事)=3,761万円です。

■諸費用は、本体・土地・別途工事の5~10%。
間をとって7.5%とします。
3,716万円の7.5%は282万円となります。

3,716万円+282万円=3,998万円。

これがいわゆるコミコミ価格の予測となるわけですね。

Aさんのご希望は、新潟で家を建てる方でよくある大きさ。
別途工事費や諸費用を入れると、当初より大きく上がりました。

土地と建物の純粋な価格から500~600万円加算されることが一般的ということが分かります。

いかがだったでしょうか?

あなたが思っているよりも家づくりでかかるお金の総額は、きっと多かったのではないでしょうか。

『別途工事費』や『諸費用』は家づくりで避けて通れない費用です。しっかりと初めから想定に入れて資金計画を立てていきましょう。

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家づくりにかかるお金の総額は思った以上のものです。
土地や建物以外にもかかる総額について、あなたはいくらまで無理なく返済可能なのか?

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土地や建物にかけられる予算が明確になれば、今後の住宅購入がきっとスムーズなものとなるでしょう。