【土地探し】ハザードマップ上危険! でも新潟では人気な理由

ここ最近、雨の降り方が今までの常識が通用しない感じになっていますよね。

2023年7月の秋田市大雨被害。
私も大学時代4年間を秋田市で過ごしたので、土地勘のある場所が水没している光景に衝撃を受けました。

買い物に行っていたスーパーの近くは水没。
住んでいたアパートの近くの道路も車が冠水をしていました。

そして友人・知人の家も床上、床下浸水をしたという話を聞いています。なんとも言えない気持ちになります。。。

新聞を見ていて水害の被害に遭われた方が「家を買った時に、こんなことになるなんて説明を受けていなかったので戸惑っている。」という記事がありました。

50年に一度クラスが局所的に降った場合は、これまでの想定が到底通用しないんだ...。ということも読み取れます。

もはや最近の異常気象は日常的。今まで50年に1回だったことが数年に一回レベルまで頻発しているようです。

そう考えると、自分が生きている間に自然災害によって甚大な被害を受ける可能性。これは年々大きくなっていると言えます。

土地を買う時に自然災害リスクの説明はあまりされない

そもそも土地や家を買うときに、災害の説明を丁寧にされるかどうかというのは微妙です。

実際は契約時にハザードマップが一応添付されている程度です。
説明は省略か簡素化されることが実際は多いと思います。

説明があったとしても「マップ上はリスクがありますが、ここまで何十年もそんなことはありません。何とも言えませんが今度もほぼ大丈夫でしょうね。」なんて会話で終わってしまうことが多いことが想像できます。

前述の秋田のケースでも、知人はハザードマップ上リスクのある土地でした。
しかし住宅の営業さんに「これだけ基礎が高ければ大丈夫でしょう」と言われてたそうです。結果は今回は床上浸水。大損害となってしまいました。

水害

不動産の契約では重要事項説明というものがあり、土地の用途や災害指定されているかの説明も一応あります。

「このあと契約です」という場面で、「そんな土地だったらやめます」となるのは考えづらいですよね。さらに説明があっても先ほどのように、あたり一面水浸しで自衛隊が救助に来るような50年に一度のイメージは誰もがどうしても想像できない。という理由で、説明を聞いてもやめる人はほとんどいないと思います。

ハザードマップを見て土地を選ぶ人も

災害リスクを100%に近い形で避けたい。ということであれば、あなたがハザードマップを読み込み、土地の歴史を学び、土地を選択していく必要があるのです。

災害対策関係のお仕事をされている方の多くは自身の住宅購入の時に、ハザードマップに色がかかっている土地を避けられる傾向があります。

通常ここまでする方はほとんどいないのですが、ここは考え方次第です。リスクは事前に回避できることもあり、そのあたりをどう考えるかです。

土地選びでハザードマップをどう評価するか?

建てる土地が決まってなくて、これから土地を買おうという方。この先はハザードマップを見て土地を買うというのが必然という感じになるかもしれません。

正直従来はこれまではハザードマップを見て土地を買うという方は、あまり多くはありませんでした。

私だって家を買った時はハザードマップを全く気にしていませんでした。
結果的にハザードマップがすべて真っ白地盤も強く新潟市最強クラスの土地を買っていました。ですが、これはただの運です。

では土地を買う時にハザードマップを気にして買うのが正解かと言われたら、そうとも言えません。

なぜかというと、新潟市の人気エリアはたいていハザードマップ上、河川氾濫による浸水想定エリアになってしまっているのです。

新潟住まいのお金相談室がある新潟市中央区新和も0.5~3m浸水想定。
新潟駅の通称駅南から笹出線、紫鳥線沿線は浸水想定エリアになってしまっています。

ご存知のようにこのエリアは大変人気があり、価格も非常に高いです。

災害に強いエリアが人気化するか?

これから土地を買う方はぜひ新潟市のハザードマップを見て頂きたいです。例えば、中央区だと関屋エリアの災害の強さが目立ちます。

新潟は海沿いの砂丘地帯で海抜が高くなっているところがハザードマップ上強くなっています。以前のブラタモリの新潟回でも特集されていたほど、海抜の高低が特徴的な土地です。

中央区ハザードマップ

新潟市 中央区版総合ハザードマップより抜粋

いわゆる昔からの高級住宅地。中央区の水道町近辺や、関屋の海抜が高いエリア、西区の青山新町は、災害に強いという観点から現在に至るまで「人の住むエリアとして」人気化していました。

最近ではこれらのエリアに引けを取らず駅南エリアが高騰化しています。ですが、先述の通りハザードマップ上は駅南エリアは良いとは言えません。

相談者の方でも【過去に災害に遭った経験がある】という方は、当然ながら自らの土地選びはかなりシビアにされていました。滅多にあることではありませんが、実際に経験をされていた方は二度とその経験をしたくないのは当然です。

賃貸ならまだしても、所有した家の被害はすべて自分で何とかしなければならないからです。

新潟市の現状は

では、新潟市ではハザードマップ上強い場所の多い郊外が人気となるのでしょうか?

現在のところは新潟市では大きな災害がありませんので、

A:便利だけどハザードマップにかかっている。
B:ちょっと不便だけど、ハザードマップにかかっていない。

と比較すると、間違いなくAの方が圧倒的に人気があります。ちなみに昔ながらの人気エリア「便利でハザードマップ上も◎」は超高級。人気もあり、なかなか手が出ないエリアとなっています。

人的被害を最小限に留めるには?

このようにハザードマップだけを考慮してそれらの危険エリアを回避して土地を買うにも無理があります。
それぞれ住みたい場所、利便性がいい場所には事情があるでしょう。

そういった場合にどう備えるか?

それはまず第一に災害時に、行動パターンを家族で決めておくことです。

2019年の新潟豪雨の際に我が家も避難勧告(現在の災害4か5クラス)が出ました。ですが小さい子どもが避難所で過ごせるか、その準備は・・・。と考えるとかなり気が重かったです。避難をしようという気持ちになかなかなれず、様子をみつつ家で過ごしていました。

事前に家族内でルールを決めて、避難勧告が出たら〇〇へ避難する。
このルールを決めておけば、意思決定で迷わずに済みます。

最悪、家屋が被害に遭っても、身の安全を確保できる可能性は高まります。

避難所

金銭的な被害を軽減するには

家屋や家財が被害に遭うことへは、火災保険で備えることもできます。

浸水の被害を保険対象にする場合は、火災保険に”水災害”の特約を付ける必要があります。ご自分の契約内容を確認してみてください。

水災害の特約を付けた場合、3,000万円ほどの家で年間保険料が10,000円~15,000円前後上がります。

保険料は上がるものの、わずか数万円で床上浸水の金銭的リスクを抑えることができる。そう考えると個人的には加入をおすすめしています。

少しでもコストダウンするために水災害の特約を外す方も多いのが現状です。しかしこれからの時代は、そこは削らないほうが無難と言えるでしょう。ハザードマップにかかっているのであればなおさらです。

ちなみに秋田市の水害ではハザードマップ外のところも浸水した地域があります。
そのため「うちは大丈夫。」と思っていて、水災害の保険に入っておらず、金銭的なダメージを受けてしまった方がけっこういるようです。(下水道などが逆流して浸水したようです)

ちなみに浸水による車の被害は、火災保険ではなく自動車保険。車両保険特約に入っていなくてはなりません。

自然災害による金銭的リスクは、火災保険で備えることが必須の時代に入ったとも言えます。
そして近年では災害リスクが上がっているので、火災保険料も年々値上がりしています

また、あまり知られていませんが災害などで被害に遭った時には、その被害額が税金から控除される(支払う税金が少なくなる)”雑損控除”という制度があります。(※【国税 1110】で検索すると出ます。)

異常気候が日常的になった今、家を持つということにはさまざまな対策が求められそうです。

事前にリスクを回避する手立てをとるか。
災害に直面したときに行動パターンをまとめ保険をしっかりかけておくのか。
このいずれかは必須と言えます。

住宅購入の必要コストとしてしっかりと換算しておきましょう。

昆 知宏
新潟住まいのお金相談室代表。新潟の住宅会社の営業マンとして働いた後、売り手の立場ではなく買い手の立場に立って住宅購入の相談ができる場所を作る為に独立した。

保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。

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