あっという間にもう10年。
私が家を建ててから経った年数です。
ここ10年で家を建てて良かったなあと心から思えたのは、なんといっても、子どもが生まれた時でした。
赤ちゃんの時は24時間泣き声がすごかったり、割と大きくなった今も大きな音や声を出すことがありますが、自分の家であれば誰かに気を使う必要もありません。のびのび子育てができる点は、本当に良かったです。
お風呂も足を伸ばして入れるし(これが新築時一番の感動)、除雪もワンポイントだけで済むし(アパートの時は駐車場から出れなくなった)、10年前の家なので冬でも寒いことは寒いですが底冷えしないし、なんといっても自宅はホッとするわけです。
これから家を建てようと思っているあなたに自信を持って言えることは、「一戸建てはやっぱりいいですよ!」ということです。
ぜひ、家づくりを楽しんでくださいね。
それくらい家っていいものですが、住む前には気づきにくい、住んでみないと分からないポイントって意外とあるものです。
10年も住めば、「ここをああすればよかったなあ、逆にしなくてよかったなあ」と思うことが鮮明に出てきますので、今日はこのことについて書いていきたいと思います。
こうすれば良かった!ランキング(私見)
最近は建物価格の高騰化により、住宅のサイズがどんどん小さくなっていっています。注文住宅の場合は延床面積32坪の家でも、大きいなあと感じるようになってきました。
家が小さくなることにより犠牲になっているスペースが当然あるかと思うのですが、コストを意識したあまり後にストレスを感じてしまうことって往々にしてありますよね。
建てる前は予算もオーバーしているし「そこは妥協するか」みたいな感じになってしまうのですが、建てた後に100万円出してでもやっておけば良かったと思うのは実はよくあることです。
というわけで、こうすれば良かった、あれがあったら良かったと思ったことランキング!
3位は、外壁材
我が家は独特な風合いが気に入って外壁を塗り壁にしました。
しかし、新築時はいいのですが3年経過したあたりから雨だれがすごく、正直美しい時期は長持ちしません。
そのせいか飛び込みリフォーム営業の餌食になってしまっています。
「まだ建ててからそんなに経ってないのでまだいいです。」というと、「ええーーーーー!!!」と驚く営業さんにまたイラっとするわけです。
実際にやってみて塗り壁のコスパは、かなり悪いように思いました。正直最近は新築でもほとんど見ませんしね。
足場を建てて全体を塗り直す必要があるので、塗り直しで100万円くらいかかってしまうのでまだする予定はありません。というか、築10年以内で外壁塗装工事が100万円かかるなんて、普通は嫌だし無理ですよね。
住宅購入時は金銭感覚がマヒするのですが、建てた後に100万円の維持費を出すことは心理的にも容易ではありません。
好みも大事ですがメンテナンスのことも考えて、外壁材を決めていけば良かったなと建ててからは感じました。
2位は、リビングの配置
南側が明るいからリビング、北側は暗いから寝室。
あなたもこんな配置が王道だと思いませんか?
我が家も例に漏れずこの王道配置で家を建てたのですが、住んでから数年経って特にこの業界のことを熟知してから、反対の「北側リビング」と「南側寝室」のほうが良かったなと思っています。
いわゆる太陽の位置に連動した王道的な方位配置は必ずしもベストとは限りません。
我が家の場合、リビングに夢だった壁一面本棚を設置したことで本が日に焼けてしまうのです。高い位置にあるカーテンない明り取りの窓が盲点でした。
また南側のカーテンを開けると外から丸見えになってしまうので、結局カーテンを全開で開けることは9割方なくて南側リビングなのに、昼から電気を点ける事が多いのです。北側=暗いというのではなく、直射日光が射さずとも自然光でも部屋の明るさはとれるので、やわらない静かな光で落ち着いた家が好みの方はむしろ北側リビングはオススメです。
また、北側は結露しやすいので湿気の多い寝室を思いきって南側にもってきても良かったかもしれないなと思いました。仕事にもよると思うのですが、朝日を浴びて起きる生活も素敵ですよね。
タラレバの話ですが、こういうのは実際に家に住んでみないと分からないことなのでぜひあなたも一度プランが出た時に、何となく思っている常識にとらわれすぎていないかをぜひ検討してみてください。
1位は、土間収納
我が家も予算の関係でサイズ的にはかなり小さく、家全体も狭いのですが特に収納が少ないです。全体的に部屋から物があふれてしまっていて、子どもが生まれてからは収納の許容範囲を明らかに超えてしまっています。
特に玄関周りの収納が限界を超えているのは明白で、片づけても整理しても玄関がいつもガチャガチャしてしまっています。
家全体で収納量が不足するのは明確であったので、一応大容量ロフトの収納もあるのですが、土がついた靴とかベビーカーをそこに入れるのはちょっと抵抗があるし、入れようと思っても梯子型の階段なので運び入れの難易度が高い。
米とか常温で保存できる野菜などを玄関に置くところがあれば結構スッキリしたよなあ...というのはあります。かさばりやすい冬場のコートなどを、部屋内まで持ち込まずにそのままシューズクロークにかけられたらとってもいい感じです。
玄関周りがごちゃついていると常になんかテンションが下がるので広さは大事だし、シューズクローク経由でも家に入れるダブル動線(靴を脱いで家にあがれる場所が2か所ありスッキリする)は玄関周りがごちゃつかないので個人的にはあればよかったなあと強く思いました。
これから家を建てようと思っていあなたに声を大にしてお伝えしたいのでは、収納が足りないとやっぱりマズイということです。
あなたが話を進めていく中で平面図を見て収納量に不安を感じたのであれば、その不安は建てた後におそらく的中します。。。
1位から3位のことはすべて私たちが望んだことですが、今だったらこれらは確実に予算が上がっても修正したいですね。
続いて、悩んだ結果やめて良かったランキング!(私見)
次は家を建てる時に提案を受けてするか・しないかを迷ったもので結果的にしなくて良かったなと思ったことです。
家を建てる時に考えることが多くて、判断が鈍ってしまうものです。
今になって振り返れば、どう考えてもいらないよね...というものばかりなのですが不思議なものです。
3位は、ウォークインクローゼット(以下、WIC)
WICが付いているアパートはあまり多くないので、なんとなく憧れる響きですよね。
我が家も当然のごとく、WICを要望していたのですが結果は却下になりました。
どうしてかというと設計士さん曰く「昆さん、WICじゃなくても普通の収納でも収納量は一緒ですよ。WICは人が出入れする部分に荷物を入れられないのでスペースを有効活用できないんです。なので、収納量が一緒であれば無理にWICはおすすめしません。」ということでした。
「そっかー。低予算で要望していて無理を言っているわけだしそこはそうするしかないですね。」という感じで、ちょっとがっかりした気持ちがあったのですが、住んでみてわかったのはまさにこの通りであってWICにしてても普通の収納でも収納量は一緒で、収納内を歩けなくても全く問題ないと分かりました。確かにそれだったら、全体を少しでもコンパクトにして予算を下げたり、居室部分の大きさを確保する方が利に叶っているわけです。
2位は、ウッドデッキ
我が家はとなりが実家なので、デッキで庭通しをつなげる案が第1案でした。プランを見た時は、「すごーい!」という感じでなんだか素敵そうな感じだったのですが、これは自信をもってやらなくてよかったと言えます。
リビングから連続しているデッキであれば、部屋の広さを実感できるのでデッキの効果はあると思います。またそこでバーベキューをしたりとか、プールを置いたりとか明らかに使用目的があるデッキも素敵でしょう。
特段目的がなくてなんとなく外構的にかっこよくするだけのデッキは、構想段階ではめっちゃテンションが上がるのですが考えてみれば使用目的がないものはやっぱりいらないのです。
しかもデッキは10年経つと結構劣化するので、そういう意味でも広いデッキはなくて正解だっと言えます。木ではない樹脂製のデッキがメンテ不要だと思っている方も多いのですが、当然劣化します。それをメンテナンスしないとダメとなると、考えただけで嫌になるのでこれはやめて正解でした。もしするにしても、デッキは家が出来た後にDIYでやりたいですね。それだったら、お金もかからないですし、壊れても自分で直せるし、多少粗くても外であればあまり気にならないしという感じです。
10年経つとメンテナンスが必要なものはどんどんお金がかかってくるので、本当に欲しい物・必要な物以外はむやみにやらないほうがいいというのが個人的に実際に家を建てて住んでみて感想でした。
1位は、蓄熱暖房機
当時先端と言われていた暖房のやり方です。
基礎の中に電熱線を入れて、基礎から家全体を暖めるという暖房方法でした。
確か30坪ほどの家でこれを導入すると工事費が+200万円ほどでした。
初期(イニシャルコスト)も高い、光熱費(ランニングコスト)も高い、基礎に埋め込んでいるので壊れたらどうするの?と今考えてみればツッコミどころ満載なのですが、「最先端の設備で家全体が暖かくなりますよ」なんて言われたらちょっとは考えてしまいますよね。
迷った結果予算の問題でこの暖房のやり方はやめることにしました。理由は今後の技術の進化で後付け暖房器具でも暖かい物が出てくるだろうと見込んでのことです。
結果的にはこれは大正解でした。10年経った今は全く見なくなり、数年で廃れてしまうということが分かります。しかも、今改めてこの方法はネットで検索して見るとひどい言われよう。最新の設備に飛び込むというのは、時が経てばリスクがあることが分かります。
今はそもそも家の性能を高めて普通のエアコンで家を暖めるスタイルが主流になってきており、わざわざよく分からない専門の器具を入れることは少なくなってきましたね。その業者だけが採用している汎用性のない設備なんかも慎重に検討した方が良いかもしれません。
寒い家が嫌なら暖房器具はシンプルにして、こだわるなら建物の性能という考え方の方が失敗は少ないでしょう。
最新の設備!ウッドデッキ!ウォークインクローゼット!となんとなく憧れる響きのこれらは、冷静に考えれば別になくても大丈夫で、結果的にやめて大正解、英断だったわけです。
固定観念や思い込みの憧れのマイホームの理想像ではなく、いかに自分たちにとって理想的な家を予算内で作り上げるかに思考を向けられるかは初めてだと難しいですよね。しかし、家づくりの成功と失敗を左右するポイントは、固定観念と思いこみの脱却が重要です。
家は3回建てて究極に近づける...らしい。
家づくりの打ち合わせをしているときって初めてのことばかりですから、何が良くて悪いかの判断が本当に難しいですよね。
実際のところ、住んでみないと本当に自分にとっていいのか悪いかなんて分かりようがないものです。
こういうことがあるので、3回家を建ててやっと理想を実現できるなんていう言葉を業界ではよく聞くものです。
一度建てれば、自分の暮らし方や理想形が分かるようになる。
二度建てれば、会社や業界のことが分かるようになる。
ということなのですが、ほとんど方は家づくりは1回きりですよね。私ももう1回やってみたいものですが、たぶんそれは無理だと思います。夢だけにしておくことにします。今の私にできることはこれから家を建てる方への第三者としても客観的なアドバイスです。
新潟住まいのお金相談室に相談頂いた方には、初めての家づくりでもいわゆる2回目並みのクオリティで家づくりをできるように支援をしているつもりです。資金相談を通して、こういったお話もしていきたいという想いがあります。
あなた自身で住んでみなければ分からないポイントは完全には解消はできませんが、固定観念や思い込みによって本来あなたには必要ではないだろうな...と思う部分はきっと見抜くことはできます。
10年間この仕事をやっていれば、なんとなく見えてくる部分がありそのあたりを単刀直入にアドバイスするのは得意だという自覚があります。家づくりは何度もできませんなら、どれだけ最初に客観的に家づくりを自分の中で考えられるかが大事です。
要望の本質が見えてくれば予算をかけるべきところにしっかりかけ、そうではないところはコストダウンをすることができます。
予算的にも、住宅の完成形としても少しでも理想へと近づけるようになると思います!
お金のことだけではなく、家のことも相談に来られた際にはぜひお気軽に聞いてくださいね。
PS
とはいえ家づくりで大事なことは、とにかく予算設定です。
お金をたくさん出せばいい家を手に入れられる可能性は高まりますが、身の丈に合っていなければ返済に追われてしまいリラックスすることができないかもしれません。
あなたが家を建てようと思ったら、初めの無理のない予算を把握することを最初にぜひやってください。
ネットで自力でシミュレーションを作りながら頑張ってみてもいいですし、マイホーム予算診断サービスで解決してもらってもかまいません。
保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。