3LDKの延床面積32~35坪くらいの家だと、家族4人で住むにはピッタリかちょっとゆとりのあるサイズ。妥協せずに家の要望を伝えて形にしてもらうと家の大きさはきっと32~35坪くらいの間に入ってくるはずです。住むには家そのものの値段だけではなく地盤改良や電気ガス水道の設備工事、そして外構工事なども必要になります。形の決まっている規格住宅ではなくて、ゼロから設計をする自由設計の家だとするとトータルのコミコミ価格がいくらになるだろうか。これには相場があり近年大きく上昇傾向にあります。
注文住宅の相場は10年位前は2,100万円、5年前は2,300万円。3年前は2,500万円、去年は2,700万円、そして来年2022年はついに2,900万円前後となりついに3,000万円に乗ってきそうな勢いになってきました。住宅性能がアップしていることや消費税の変化もあるため、全く同じ条件ではありませんが、それらを考慮してもここ数年の上昇率は大きくなっています。
あなたも注文住宅を建てようと思っていたらきっと、なんとなく初めに考えていた予算よりも打ち合わせを進めていくと大きく見積額が違って驚く場面があるかと思います。土地の価格もどちらかというと上昇傾向であり、土地建物込の費用が中央区だとついに心理的節目である5,000万円を突破傾向にあります。これには正直、業界はざわついています。いよいよ土地付きで注文住宅を買える人は限られる時代になってきたということがあり会社の経営に大きく影響を与えかねないからです。
先日海外の不動産状況についてたまたま教えてもらう機会があって、日本はまだそれでも全然マシのようでして海外だと人気エリアの不動産価格、そして建物価格も爆騰しており1年で2倍に迫るところもあるようです。そこまで上がってしまうと、もうだましだまし買えるレベルでもなく諦めも付くため今は購入を控える(というか不可能)人が多くなっているようです。
値段が上がっている要因としてはとにかく建築材料費が高騰していることに尽きます。建築材料費はここにきて下げ止まることなくまだ上昇傾向にあります。一時期下げていた木材の取引価格も再度高値を目指して上昇傾向になっているところをみると、当面は価格が落ち着くことが期待できない雰囲気になってきました。特に海外からの原料調達が多くなる日本の家づくりではここ最近の為替の円安の影響も受けて、厳しい展開が続いています。世界情勢のニュースを見ているとこの円安についても特に収まる要素はなく、当面家づくりにおいて値下がりしてくる材料は見当たらないというのが現状です。
家を買うタイミングはいつがいいのか?
原材料の高騰が一時的なものであると仮定すれば、いつかは価格が落ち着いてくるはずです。そうなれば、価格が落ち着いたときに家を建てたと誰もが思いますよね。そのタイミングを見計らって工事をスタートで切れば百万円単位でコストダウンができる。もし私が自分の家をこれから建てるのであればこんなことを一度は考えると思います。
木材の価格上昇は一時的なものであるはずでした。しかしながら、価格は高止まりであり下がってくる雰囲気は依然として掴むことはできません。仮に木材価格が春先に下がってきたとしても、今度は春からガラスやキッチンやユニットバスなどの設備の値上げが決定。外壁材などの高騰も止まりません。このような状況下で複数の材料が絡み合って総合的に最も原価が下がっているタイミングを狙うのはもはや不可能であり、結論としては購入を検討しているのであれば早い方がいいなと思っています。
例えばつみたてNISAで一番人気の投資先であるアメリカの株式なんかもそうです。常に最高値を更新していっているような状況となっており買おうと思っているときが常に高くて買いづらいのですが、後から結果を見ると少しでも早く買った方が良かったですねという感じになっています。木材や原料は、金融市場で取引されている商品ということもあり、いうなれば株と同じようなものです。それを一番安い時を見つけるというのは不可能ですから、買おうと思った時が買い時という古典的な結論がどうやらベターアンサーになるようです。
住宅購入の場合は買う時期が遅れると住宅を建てるまでに賃貸に住んでいるであればその期間の家賃支払いによる損失が生じます。価格が下がっているときを数年待ってしまうと、その間に支払う家賃が仮に月7万円だとすると、2年で168万円にもなってしまい家の値上げ分を吸収できる金額でもなくなってしまいます。また住宅ローンを早く始めれば早く終わるという分かりやすいメリットもあります。あなたが今35歳であれば、これから35年ローンを組むのと2年後から35年ローンを組むのとでは返済難易度は大きく変わってきてしまうのです。
最近の日本の傾向は給与の上昇が伴わないのに、モノの値段がどんどん上がって言います。俗にいうインフレ’(物価上昇)です。そうなると、大きな買い物は無理のない範囲が大前提ですが早期に買っておくという選択肢は悪くないと個人的には考えています。車についてもいつの間にか軽自動車でも普通車でもかなり価格が上がっていますよね。新車国産ミニバンはコミコミで400万円前後が相場です。余談ですが、私が1年前に買った車を興味本位で査定に出してみたら購入時と同じ価格で売れることが分かりました。ここ数年はこういうことは起きやすいために、家においても同じように当面そんな傾向が続くのかなと考えたりします。
価格以外の懸念材料
物の価格が上がるのは痛いところなのですが、もうひとつ懸念があります。そもそもお金を出しても欲しいものが手に入らないかもしれないということです。家の場合は、予定していた外壁材が調達困難となり代替材料を探すことになったり、外国製の製品は生産中止や納期遅れが相次いでいて希望のメーカーの製品を家に納品できないという状況が起きています。
現在日本ではコロナは比較的落ち着いているのですが、海外は全く落ち着いていないどころか過去最大の感染者数となっている国が増えてきておりあらゆる分野へ影響が出ているのです。2022年もコロナの影響を直接・間接的に受けることが多くなりそうな現状なのです。
家を建てる時に「これ!」と決めていたメーカーのキッチンや関連設備が使えないとなればがっかりしてしまいますよね。無垢材フローリングにも大きく影響が出ているようで、イメージしていたものとも違うものを使わないといけないとなると印象が大きく変わってきてしまいます。提案を受けてから選択肢の中で決めていくということであれば大丈夫かと思うのですが、予め具体的な希望があればとにかく早め早めに希望を伝えて納期に余裕を持って発注をかけていく以外できることはないように思います。
製品の納期遅れにより工事の遅れも目立っているために、思っているよりも引っ越しできる時期が遅れるというのは2022年は特に顕著になりそうです。特に来年は2021年9月までに駆け込み契約をした方々の工事が、これからたくさん控えている状況でもあるからです。
土地からこだわりの注文住宅を建てる場合
新潟市の中央区で皆が望むきれいに区画された分譲地のような土地を手に入れようとすると相場は2,000万円前後。東区・西区・江南区は1,500万円。こういったところです。ここに3LDKの一般的な大きさの注文住宅建築費用が3,000万円として、諸費用を別に200万円ほど見ておきます。
◆中央区
土地建物総額5,200万円
35年ローン 変動0.725%
月々返済額140,218円×12か月=年間返済額1,682,616円
◆東区・西区・江南区
土地建物総額4,700万円
35年ローン 変動0.725%
月々返済額126,736円×12か月=年間返済額1,520,832円
全額をローンで借り入れた時の具体的な返済状況はこんな感じです。なかなかの額ですよね。年収に対しての返済割合率を見ていくと、例えば年収600万円であれば年間返済額は全体の28%となります。世帯年収600万円ほどあれば、他に借入がなければローンの審査は難なく突破することができるでしょう。
しかしながら返していくのはきっと容易ではありません。銀行審査がOKだからと言って、家を買ったらとっても危険です。年収に対しての返済割合は3割程度かと思っても、手取り額に対しての割合ではないからです。年々上がっている社会保険料や所得税・住民税の天引き、そして天引きされた手取りから生活費の支出について消費税10%が課税という状況により家計の運営難易度は年々増しているのが事実です。給与明細の天引き額を見ると、すごいことになっていますよね。
全額借入でも銀行審査は突破できる可能性が強くても、実際に返済していくことは相当にきついことが分かります。一生に一回だからと無理に希望に固執せず無理のない予算に合った不動産を手にするという考えも大事ですね。
希望をたくさん叶えたくなる気持ちはとてもよくわかるのですが、これからの生活にかかるお金は家だけではありません。他の楽しみを制限してまで目いっぱいいくかは、余計なお世話かもしれませんがよく考えてみた方がいいです。手に入れるまでは盛り上がるものの、手に入れてみて冷静に考えてやっぱりそこまでしなくてもよかったかなと思うことは日常的に他にもありますよね。
今後の家づくりの相場状況がどうなっていくかは読めないところが多いのですが、とりあえず相場が下がっていく材料が特にないのが現状です。まずはあなたの家庭の収入と支出をしっかり把握して、冷静に返せる額を考えていきましょう。
保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。