異次元の子育て・少子化対策は家計にどう影響する?

岸田総理、渾身の政策「次元の異なる少子化対策」。

いよいよ骨格となるたたき台が発表され、その方向性が見えてきました。

家計に与える影響が大きいだろうと思われる内容はこれです。

・児童手当を16歳から18歳までに延長

・第2子以降の手当金を増額

どんな影響が見込めるのか、詳しく見ていきましょう

児童手当がトータルで増額される見込み

現行の児童手当は
・3歳まで月額15,000円
・以後中学校卒業時まで月額10,000円
※第3子は3歳~小6まで月額15,000円。

これらを貯めていくと約200万円となりました。

改定では中学卒業時までから、高校卒業時(18歳)までの延長の可能性が高そうです。
これが実行されると 1年で12万円×3年=36万円 の増額になります。

つまり児童手当を最後まで貯めると、約200万円→約236万円まで貯金額がアップすることになります。

家計にとってはうれしいですが、36万円で肝心な少子化に歯止めがかかるとは思いません。正直、異次元という感じもありませんよね。

実質の目玉は、これから具体的に発表される第2子以降の加算でしょう。

第2子・第3子を手厚くサポート

多子世帯への児童手当を増額する方針です。

もし第2子以降は月3万円、第3子が5万円等になれば『助かる』感が強まります。
既に子どもがいる家庭で2人目、3人目を考える可能性が高くなり、少子化対策に非常に有効だと私も思います。

私ももう少し若ければ3人目を考えたと思います。

もし第2子・3子以降増額案が実現されれば、家計に与える影響も大きくなります。

私はこれまでに金銭的な理由で2人目、3人目の子どもをあきらめる家庭をたくさん見てきました。

しかし、これくらい手厚い支援があるのなら話は別。
FP的に見れば、子ども1人と2人・3人でもライフプラン上の支出はあまり変わらなくなります。

これを簡潔に分かりやすく示すことが、少子化対策につながるのは間違いありません。

現在は晩婚化が進んでいます。
年齢的に次の子どもをあきらめる家庭も多いでしょう。少しでも早くこういった政策が決まっていると、家族計画も考えやすくなり子どもも増えると思います。

ぜひ実現するといいですね。

既に子どもが複数いる家庭にはボーナスになるが...

今回この制度を難しくしているのは、『少子化対策』なのか『子育て支援』なのかがあいまいなことです。

趣旨としては「人口現状に歯止めをかけるラストチャンス」。
それならば、軸足を出生数を増やすことに置くべきかと私は思っています。

しかし実際は、目的達成(出生数増加)以外にもお金の多くがいくと思われます。

例えば既に子どもが2人・3人いる家庭。
または、我が家みたいに年齢的なこともあって、これ以上子どもを考えていない家庭について。

児童手当が増額になるのは正直言って嬉しい。助かります。
ですが、政府の言う出生数を増やす目的は達成できません。

この制度で目的が政府の達成されるのは、これから2人目、3人目をどうしようか悩んでいる世代。
また今後子どもを産むかもしれない世代に対しては「金銭的に安心して子育てができる」という効果があるとは思います。

ただ「子育ては贅沢」とまで言われマイナスイメージに振り切っている現状、イメージの挽回と浸透が出生率に出てくるまでには時間がかかりそうです。

個人的には、財源のことを考えても2023年4月以降に出生する子どもに限る。としても良いと思いますが…。
不公平感が満載で大反発は確実。
ですがおそらく、選挙対策も兼ねてとなるとそうはならないでしょう。

何よりもベストシナリオは出生数が伸びることです。

目先のことだけで考えてはいけない。これは、ひとつの世帯の家計も政府も、違いはありません。

フラット35の新・子育て優遇金利の発表

このほか、これから住宅取得を考えている方に影響しそうなものも。
それはフラット35の金利優遇です。

既に
ZEH住宅や長期優良住宅水準を満たした家を建てると、10年間金利が0.5%引き下げられる
という制度があります。

しかし、フラット35の金利が高くなりすぎました。

2023年4月は保険ありで1.76%
ここから0.5%下がっても、最初の10年が1.26%

そのため、今ローンを検討している人でフラット35を選ぶ人はあまりいません。

「フラット35は政府系金融機関なので、商品が売れないまま放置しておくわけがないだろう。」

私はこんな風に踏んでいて、追加で「割引政策が来るかも!」と相談者の方に話していました。
ですが、それが異次元の中に入ってくるとは意外でした。

まだ骨格段階なので、正式案は出ていません。
ですが、子どもの数1名につき金利を10年間0.1%引き下げるという案がちらっと出ていました。

ZEHと長期優良住宅制度と併用して
『10年間で金利が0.5%+子ども1人につき0.1%ずつ引き下げ』これがたたき台となりそうです。

子育て支援と住宅ローンの結びつきにはムリがある?

個人的には昔やっていた当初10年1.0%引き下げを期待していました。

ですが、そもそも子育て支援名目での税金投入。
これを、贅沢な一戸建てを建てるための金利優遇に使うのはどうなんでしょう?

これは少子化対策として無理に子育てを結びつけず、経済支援としたほうが筋が通っていると個人的には思いました。

どうしても子育て支援で行くなら
子どもがいる家庭が家を買った場合、金利ではなく住宅ローン減税を昔の1%に戻す
これが良いと思うんです。

払った税金を上限にして返す。不公平感もなくシンプルです。
途中で子どもが生まれたら?なんてモヤモヤ感もありません。

民間銀行の金利支援は一切なく、フラット35の支援に限る。
これはちょっと不公平感が強く、いろいろムリがあるんじゃないかなと感じます。

現状では
固定金利が少し落ち着けば、この制度をうまく使ってフラット35も候補の一手として挙がるかも。
こんな印象を受けました。

その他・子育て世帯にプラスになりそうなもの

・多子世帯に給付型奨学金の拡充

・育休手当の増額、拡大

ライフプラン上で最大の赤字ポイント、子どもの大学進学時の支出

ここについては、多子世帯でもらえる「給付型」奨学金の拡充も検討に入っています。

現在の給付型の要件は、両親と子2人で年収380万円未満。
これを世帯600万円に引き上げる方向とのこと。

給付型奨学金がもらえるハードルがどれくらいななのかはまだ分かりません。

ただ「世帯年収」600万円というボーダーラインは結構微妙です。
前後による強烈な不公平感を生みそうな感じを受けます。

世帯年収580万円なら、給付型奨学金を受けとれる。
世帯年収620万円で給付型奨学金は受けられず。借金に。

これではちょっと、不公平ですよね。

やはり公平なのは、条件該当者にだけお金を配る以外の方法ではないでしょうか。
例えば支払った入学金・授業料を所得控除して減税という名のキャッシュバック方式。
または、大本の大学教育に対する公的負担の割合を増やし、授業料等を減額。

これなら子育てで一番お金がいる大学進学時に、公平に家計にお金をより多く残すことができると感じます。

制度はあくまでサポート。自分で家計を守りましょう

この他、産休・育休の手当金を増額も検討されています。
出産による収入の落ち込みを緩和する、という措置も取られる見込みです。

こちらも住宅購入と出産は重なりやすいので、地味ながら住宅購入者の家計を底支えするうれしい制度になるかと思います。

こんな感じで、不公平感やもう一声感はありながらも、
子育て世帯にはとりあえず恩恵となるものばかりと言えます。

ですが...頼りすぎは危険です。
「今までなかったものはないもの」

政策に依存したりせず、しっかりと自分の家計は自分自身でディフェンスしたいですね。

またいろいろ具体的な発表になった場合、住宅関連のものを中心にまとめていきたいと思います!

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昆 知宏
新潟住まいのお金相談室代表。新潟の住宅会社の営業マンとして働いた後、売り手の立場ではなく買い手の立場に立って住宅購入の相談ができる場所を作る為に独立した。

保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。

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