住宅の断熱性能|体感と光熱費はどう変わる?

断熱性能が、電気代と直結しているってご存知ですか?
電気代、最近高騰していますよね。

我が家は、いわゆる自由化電力を使っています。東北電力と連動する料金です。
使用した電気代を1日単位でアプリで詳細に見ることができます。

例えば1年で最も電気代が高くなる1月
今年と去年の、電気代はこんな感じでした。

2022年1月 電気使用量884.60kwh 29,597円

2023年1月 電気使用量803.30kwh 31,421円。

去年よりは使用量は10%ほどダウン。
電気をこまめに消しまっくたり、暖房の設定温度を下げたり結構節電を頑張りました。

ですが、見ての通り電気代はアップ…。
単純に1kwhあたりを比較すると、去年33.45円、今年は39.12円。
上昇率は約16%です。

私の家は12年前の家なので、そこまで断熱性能は高くありません。
これくらい電気代を使ってエアコンをいれても結局寒い場所は寒い。
家中快適! と言える生活には、ほど遠いのが実際です。

電気代が高くなっている家の共通点

世間を騒がしている高額な電気代請求。
家のつくりに共通点があるように思います。

それは少し前に流行った電気式床暖房を採用していること。
または、LDKが広い、家が広い、吹き抜けが大きい。

要は温める体積が大きいということですね。

こういった家では電気代が7万円から10万円近くになるケースもあるそうです。
もはや住宅ローンか!?というレベルですよね。

これから家を建てようと思っている方も、他人事ではありません。
今まで以上に性能についても断熱性能への理解を深め、後悔のない選択を求められる時代になったと言えます。

住宅の断熱性能とは?

断熱性能が高い住宅。
これは、言い換えると外部温度の影響を受けにくい住宅のことです。

断熱性能が高いほど、快適な室内環境で過ごすことができます。

断熱性能は、Q値やUA値などの数値で表されます。
Q値は、外皮(外壁や屋根など)からの熱損失量を示す指標。低いほど良いです。
UA値は、外皮の部位ごとに計算される熱貫流率。これも、低いほど良いです。

日本ではUA値等に断熱性能基準が設けられた、HEAT20という制度があります。

色々細かい条件はありますが、ざっくり現在において高性能住宅、つまり冬寒くない家。それがHEAT20のグレード条件を満たす建物、と理解して問題ありません。

HEAT20性能G1 G2 G3グレードのメリット

HEAT20とは、住宅の高断熱化を目指す団体のことです。
この団体が認定する断熱の基準に、G1・G2・G3というグレードがあります。

住宅の外皮性能をG1・G2・G3という3つのグレードに区別しています。

(設計事務所ではないので、細かい説明はここでは省略しますが)1.2.3と数字が高くなるほど良い、ということをまず押さえてください。

HEAT20クラスの高断熱住宅のメリットは、以下のようなものがあります。

  • 冬は暖かく、夏は涼しい家になる。
  • 室内の気温を一定に保てる。→脱衣場やトイレなども寒くない。
  • 冷暖房費を節約できる。
  • ヒートショックの危険性を防ぐ。心疾患などのリスク軽減の科学的裏付けもある。
  • デザインの幅が広がる( 吹き抜けやリビング階段なども冷暖上不利なく設計可能)

地球環境にやさしいので、この水準なら余裕で2023年の「こどもエコ補助金」にも該当してきます。

これから家を建てるであれば「HEAT20に対応した家を検討する。」という考え方は王道とも思えます。

ですが当然ながら、HEAT20に該当する住宅は決してお安くはありません。

断熱性能を上げると、どれくらいコストアップする?

高い断熱性のを持つHEAT20の家。
通常の家よりコストがどの位あがるかは、断熱材や気密処理いわゆる施工の技術力などによって異なります

私の感覚値なのですが、G1・G2・G3とグレードを上げるごとに坪単価で5万円前後の違いがあるように思います。
坪単価で5万。家全体ではそれなりに価格差が開きます。

※単純に性能だけの価格の話です。詳しいところは担当となる設計士さんに聞いてみてください。

グレードがあがるごとに約5万円坪単価がアップ

新潟で選ばれている断熱性能は?

現状では住宅価格そのものがかなり高騰してしまっていますよね。
その上G3だと、さすがにかなりの高額になります。

新潟でもG3グレードで建てている人はかなりの少数派と言えるでしょう。

実際に建っている家の多くは、G1かG1に満たない水準です。

5地域の断熱ピラミッド

※U値は新潟(5地域のものです)

予算に余裕があればG2グレードが個人的にはお勧め。ですが、注文住宅で3,000万円以下にしようとすると「G2グレードは現実的ではないかな」という結果の見積もりを最近多く見ています。

もちろん家の性能を下げれば価格は下がります。

そもそもHEAT20などがまだなく家に対して業界全体で性能が低かった12年前の我が家。
サッシ等は当時にしては良いモノを入れましたが、それでもその性能は、G1の下の下の下(もっと下?)くらいでしょう。(※C値5.0位だったような気がします。)
当時の資材の価格も違うので単純には比べられませんが、昨今の住宅よりかなり割安でした。性能が違うからです。

我が家から考えれば、G1でも夢のように高性能ではあります。

HEAT20の家は最初こそ高くなります。
しかしエネルギー消費量が少ないため、光熱費やメンテナンス費用を節約できる可能性があります。

総合コスト面のバランスや国の省エネ方針などを考えると、新潟ではHEAT20を満たす水準のG1以上が今度スタンダードになっていくことでしょう。

性能差は体感よりも光熱費に

これくらい性能が高い建物になってくると、暖房をかけていれば寒いと感じることはほぼないと思われます。

先日たまたま面白い経験をしました。

ほぼG1とG2グレードの規格住宅の同時見学会に参加する機会があったのです。

暖かさの体感差は、あると言えばありました。意外と分かるものでした。
もちろんどちらの家も寒くはありません。暖かいことは問題ありませんでした。

ほぼG1の家の方は、エアコンが頑張っている時間がたまにある。
G2の家の方は、エアコンがほとんど頑張ってない。ジーンと暖かい感じがする。

それはきっと空気の流れの力が最小限なので、温度ムラがないからのように思います。

暖かさの質が違う。なんて寒い家に暮らすものからすれば、貴族ような贅沢なレベルの話とも言えます。

つまり何が言えるかというと、G1でもG2でもハイスペックなので暖かさの問題ない。
ですが、光熱費の開きは出るでしょうということです。

G2のほうが光熱費が安くなるということです。(G3ならなおさらですが初期投資が現状では高すぎます)

結論:新潟におけるおススメ住宅性能は

こんな感じで総合的に勘定していくと、新潟においては予算が許せばHEAT20水準をお勧めする設計者が多い印象を受けます。

正直に言ってしまうと、G1以上の性能(できればG2)では入居後に寒い暑い、結露する系のクレームが入ることはまずありません。
その点からも住宅会社的にはお勧めしたいと思っているはずです。

その分建築コストは高くはなるものの、長い目で見れば回収できるし、何よりも住んでいる期間ずっと心地よい。

家は高くなったものの、これから家づくりができることは私から見たら本当にうらやましいです。

価格が安すぎることには必ず理由があります。

それは性能の差なのか、それ以外にあるのか。
理由が不明なままただ価格だけ比較して安いからと選択するのは危険です。

性能は後悔しやすいので、じっくりと検討してくださいね。

PS とはいえ、住宅予算は有限です

性能にどこまで投資しても良いのか。

そもそも大前提として無理のない住宅購入予算を知りたい方はマイホーム予算診断サービスを使ってください。

長い目で見ればトクなのはその通りですが、過剰投資になってもローンを返すのがハードモードになってしまい本末転倒です。

断熱基準に関しては、住宅会社さんや設計士さんによってお勧めする基準や考え方が変わってきます。今回の記事は、私の関わってきた家づくりから感じる個人的な印象を基にしています。コストと性能のバランスに関しては、ぜひあなたの家に関わる住宅会社さんや設計士さんと話し合ってみてください。どちらかに偏るよりバランスをしっかり自分なりに理解することが大事です。

この住宅購入ルールを知る前に、家を買わないでください

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などなど、
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昆 知宏
新潟住まいのお金相談室代表。新潟の住宅会社の営業マンとして働いた後、売り手の立場ではなく買い手の立場に立って住宅購入の相談ができる場所を作る為に独立した。

保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。

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