2017年春に入った衝撃的なニュース。
当時このニュースを見たときはびっくりしましたよね。
それは、第四銀行と北越銀行の統合。
まさかこの2つが統合するとは、住宅業界も金融業界の人たちもこれっぽっちも考えていませんでした。
実際に当時、それぞれの銀行の人たちに電話して聞いてみたら、当人たちも報道で初めて知り「詳細は未だに知らされていない・・・」ということでした。
新潟県は20年前に比べ20万人も人口が減っており、市場規模も年々縮小。
そこに加えてマイナス金利の影響で、本業である融資をしても利益が減り経営は苦しくなっていく一方。
このまま第1位と2位の銀行が、消耗戦で削り合っていても未来がない・・・
「じゃあ、一緒になろうか。」
当時の報道をまとめるとこんな感じでした。
未来を見据えたときに共倒れになるくらいなら、「共に歩もう・・・」ということですね。
こういう合併話は県外の資本と一緒になることが多かったので、私も近い将来第四銀行はそういう路線に進むのでは?
と思っていましたがまさかの展開でした。
外様ではなく、県内どおしで手を取り合っていくのは、地元愛が強い新潟っぽさだなあとつくづく思います。
完全合併してどうなったのか?
合併の基本コンセプトは、「激しい消耗戦により、お互いの利益が削られてしまった。今後市場が衰退していく中で、利益を奪い合うのではなくて統合して大きなものにしていこう」ということだと思います。
この場合は、まず考えられるのは経費削減。
第四銀行と北越銀行は同じような場所に、ほぼ隣り合わせで支店を構えていることが多く、経営統合されて同じ資本になるなら支店の統廃合は自然の流れですよね。完全合併された2020年以降も、向かい合わせの支店がいくつか存在していますが、今後どんどんそういった景色は見られなくなっていくことでしょう。
旧北越銀行はセブン銀行ATMが無料で私もそれがきっかけで家計の口座は、北越銀行で作りました。
当時のYahoo!ニュースのコメントを見るとこういった旧北越ファンが多いらしく、「有料にするのはやめてくれ!」というコメントが最も見られました。
ここは有料化しないかなと思っていたのですが、予想を裏切って割と早期にATM無料化は完全廃止になりましたね...。
一番のコストである人件費と、店舗の維持管理コスト削減が現在はどんどん進んでいます。
支店の数が減ってからは、15日とか25日の銀行混雑日は以前にも増してお店の混雑が目立ちます。
実際に働いている人に聞くと、旧北越、旧第四の人とで同じフロアに今はもちろん勤めているそうなのですが、若い人は特に気にせずやっているようです。ドラマ半沢直樹みたいに、「旧●●とか」そういったことを気にしているのは偉い人だけなのかもしれません。
しかし傍から見て感じているのは、旧第四銀行のパワーが圧倒的に強いように感じています。
それを物語るように旧銀行のそれぞれを配慮し、本社機能は旧第四銀行の本店所在地に、登記上の本店は旧北越銀行本店所在地の新潟県長岡市になっていたようですが、いよいよ両方とも新潟市になる!?なんて話が出ています。
住宅ローンはどうなるのか?
新潟の住宅ローン市場は、第四銀行中心で動いていました。これは紛れもない事実でした。
第四銀行が金利を下げれば、他も下げる。こんな感じです。
旧北越銀行は旧第四銀行よりも条件次第では有利な住宅ローンが多かったので、当時は当相談室でも北越銀行の住宅ローンについてサポートをすることも多かったことを思い出します。実は私自身も、旧北越銀行で特別限定でやっていた住宅ローンを借りています。
以前は第四銀行と北越銀行との熾烈な争いは、明らかに顧客にとっては有利でしたね。
後出しじゃんけんみたいに、この2行がやり合うことで住宅ローン金利は下がり、サービスや保障が充実し、消費者にとっては嬉しい限りでした。今では当たり前になっている全疾病保険も、旧北越銀行はかなり早い時期からやっていました。
しかし、これは単純に体力の削り合いの消耗戦。
もうこういう方向はやめることを考えていきましょうよ。
こういうこともあるのでしょう。
結局合併後は、旧第四銀行の住宅ローン商品に一本化されて、旧北越銀行の住宅ローンはなくなったのです。
旧北越銀行の住宅ローンは、ハマる人には抜群に良かったのでちょっと残念でした。
この経緯を見る限り、これ以上の消耗戦は避けたいということですから、率先して住宅ローン金利がこれ以上下がってくるような局面はないと考える方が自然の流れであると考えられます。
合併後、他の金融機関は?
第四と北越が合併するときに他の金融機関の方に正直な感想を聞くと、「勘弁してくれ。」というのが本音のようでした。
独占禁止法の話題も当初ありましたが、資本力の強いところが合併したら他が勝負することができないよという懸念です。
しかし、私はむしろチャンスのように思いました。今までは第四銀行・北越銀行が県内の住宅ローンの圧倒的なシェアを持っていったのですが、今後は、『第四と北越との比較で終わりではなく、第四北越と他の銀行の比較になる』このように比較されることが増えると思ったからです。
大きな地方銀行の2つで終わっていた比較が、他のところも土俵に上がってくる可能性が高まるので、比較がされやすいような何か特色のある住宅ローンが打ち出せればチャンスとなります。
時代の流れからして、フラット35やネット銀行なども、年々条件を緩和して借りやすい環境が整備されていく中、ライバルは多数存在しています。特にネット銀行については、AIなどの技術も普及していく中で、今後住宅ローンは対面レスが当たり前になっていくのはほぼ既定路線です。しかし実際新潟においての住宅購入ではネット銀行では対応できないことも多いのが実情で第四北越銀行を代表とする地元の金融機関の優位性はいまだに強いものがあります。ここのハードルがいよいよ取れて都市銀行資本下のネット銀行が万能になったときは、大きなシフトが起こりそうですね。
当初の予想通り住宅ローン競争は、「第四北越という大きな母体」VS「さらに大きな資本の母体」とまるで宇宙戦争のようなスケールに突入しており、金利競争はさらに激化しています。第四北越銀行の住宅ローンも決して悪いわけではないのですが、状況によっては更に上回る住宅ローンここ最近は目立ち始めてきました。これらはいわゆる裏金利であることが多く、ネット上でその情報は閲覧できませんがもうハイレベルすぎて異次元の世界です。
こういった競争は私たち消費者にとっては悪いことではありません。
結果的には、合併したからと言って単純にシェアを大きく上げられたかというと話はどうも単純ではなさそうですね。
都市銀行や県をまたぐ銀行連合軍のような大きな資本の銀行が本気を出したときのパワーを、この仕事をしていて感じる機会が増えてきました。
新潟住まいのお金相談室では、今後の住宅ローン動向を把握し、引き続き研究をすることであなたの役に立てればと思っています。
住宅購入で支払う費用は住宅会社の見積額ではなく、利息込のローン総支払額だからです。ご期待ください。
PS
住宅ローンはどこから借りるかも大事ですが、それよりも大事なことはあります。
何だかわかりますか?
それは、いくらまで返せるかをしっかりと把握することです。
金利競争化で変動金利は低下し、目先の月々返済額は借入額が多くても最初は安く見える傾向が顕著です。
これは大変危険です。
金利が将来どうなるかは分かりませんが、金利上昇したときにあなたはその上昇分の返済を約束したことになります。
契約書にはそういう文言があり、あなたは印鑑証明書を添付し実印を押します。
金利が高い低いということよりも、家を建てようと思ったらまずはあなたの家計に無理のない正確な借入金額を把握することが大事です。マイホーム予算診断サービスではあなたの無理のない借入金額を今すぐ明確にすることができます。
保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。