コロナ禍で家を建てる決意、建てない決意

「追い込んででも回収して見せますよ。」

今から数年前のこと。

とある飲み会でご一緒した方がそんなことを

言っていたのを思い出しました。

某金融機関にお勤めの方で、

住宅ローン返済が滞った人たちへ

返済を迫る仕事をしている方でした。

世の中色々な仕事をされている方がいます。

具体的に文章化できないほど、

まあ凄い言葉で回収業務の実態を

教えてくれました。

笑顔が爽やかで人当りの良さそうな

営業マンといった風貌なのですが、

表と裏の顔の違いに驚きました。

確かに住宅ローンの滞納を止めるのが

仕事でありそれに対しての成績評価や

ノルマもあるのだと思います。

借りたものは返すのが当たり前ですが

住宅ローンという割と身近な借金で

人生を大きく狂わされる人もいる。

そういった方々に接している人も

それを仕事としてしなければならない。

できれば私たちはこういったこととは

無縁でありたいものです。

今日は何でこんな話をするかというと

予想は以前からできたことなのですが

コロナ禍で住宅ローン返済が辛くなっている方が

増えてきたという報道を見たからです。

コロナの第3波が与える影響

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ここにきて第3波が確実に起き始めていますよね。

一日あたりの感染者数は最高値を更新し

嫌でもまだ今年の春のような景色が

イメージされるようになってきました。

我が家は毎年年末年始に県外に帰省しますが

このムードだとちょっと難しいかなという

感じになってきてとても残念です。

Gotoイートも始まっているし感染対策をすれば

そろそろいいかな!?

となんとなく実施されそうなムードに

なっていた忘年会も軒並み中止となり

飲食業界への影響も心配されます。

コロナによる影響が具体的に数字に

なってくる時期となり、

賞与カットの企業や希望退職者を募集

する企業も目立ってきました。

おそらくこの先は以前のように

テレワーク推進、在宅勤務の推進と

リモートが再加速されるでしょう。

やっと終わったと思ったのに、

もう少し辛抱する必要がありそうです。

今年春のコロナを振り返ると個人的には

「住宅業界はもうしばらくダメだな」

と思っていたのですが、

結果としては、

・将来の生活不安で買い控えする

という方々ももちろんいらっしゃる一方で、

・自宅での仕事を強制される環境下に

アパートでは耐えられなくて家を建てる

・家に家族でいる時間が増えたので

快適な生活空間が欲しい

と両方でバランスが取れて実は住宅業界の

成績は思ったよりも悪くなかったのです。

国としても住宅投資が下がると

景気が大きく落ち込むことから

ここにきて住宅ローン減税の延長期間を

2年間伸ばす方向でほぼ決定路線に。

建て時感の演出に必死です。

コロナ禍で家を建てる決意、建てない決意

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以前も似たような記事を書きましたが

コロナでこんな状況なのに、

日経平均株価はバブル崩壊後

最高値を更新し続けています。

緊急の経済対策が実施されたために

コロナの影響を受けなかった

特に大企業は業績を伸ばしています。

コロナ前はいい感じで全体的に

景気が上昇傾向だったのですが、

現在は強烈な勝ち・負けがはっきり

してしまっています。

あなたの業界はどうでしょうか?

ここで大切になるのは、

もしあなたが”勝ち”の方の立場にいる場合、

調子のいい年収ベースで家づくりを

考えると極めて危険ということです。

この困難な時代に”勝ち”側に回れたことは

確かにラッキーです。

ただ今後20年、30年ずっと調子がいいまま

ということは基本あり得ないでしょう。

特に今年・来年の年収が跳ね上がったなら

大きく上がる前の年収ベースで無理のない

住宅ローンを組むのが安全です。

人って不思議なもので一時的にでも

調子が良くなるとつい気持ちが大きく

なってしまうものです。

一方で現在のところ”負け”側になって

しまったと思っているあなたは

どうすればいいでしょうか?

この場合は、半年間は様子見をしましょう。

先が読めない状況化で住宅ローンを

組むのは極めて危険です。

だいたい企業の業績は3か月ベースで

見えてきますから半年もすれば、

その先がどうなりそうかという展望は

見えてきます。

住宅購入をそこまで急ぐ理由はありません。

この期間を情報収集期間として、

じっくり時間を取れることを

プラスに捉えてください。

「急いだほうがトク!」という情報は

一旦シャットダウンしましょう。

住宅ローン破たんする人の共通点

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最後に一番大事な話をします。

過去のデータを振り返ってみると、

住宅ローン破たんする人の多くは

ある共通点があることが

分かってきているようです。

これはタイミングに関わらず、

コロナに関わらず言えることだそうです。

それは、頭金の額です。

破たんをしてしまった方は、

”頭金ゼロ”

に近い層が圧倒的に多いというのです。

いわゆる全借入、フルローンですね。

収入があれば家計は回せるのですが

何らかのトラブルで収入が減った時に

押し出されるように住宅ローン分が

払えなくなるというのは当然のことです。

つまりローンを始める前から既に

無理をしていることが分かります。

私が日ごろライフプランを作っていても

やはり一番難しいのは自己資金ゼロで

フルローン希望という場合です。

しかし、頭金が少なくても買ってもいい場合もあります。

例えば去年結婚式をしたばかり

車を無借金で買ったばかりなど、

貯金は出来る力はあるのにも関わらず

たまたま今貯金がないというケースで

今後支払う家賃を抑えるうえで、

フルローンでも早く家を買ったほうが

ライフプランを作ると有利という場合です。

しかし今後も貯金があまりできなそうで

今の収入でなんとか家計を回すのが

精いっぱいという場合は

何らかの外的要因があった時点で

破たんリスクが大きく上がります。

若い方は今はいいかもしれませんが

子どもの教育費や全体の生活費

住宅の維持費が増していきます。

思ったように定期昇給がなかったり

ボーナスが今回のように減額になると

じわじわきつくなってきてしまうのです。

あなたは5年先の家計をイメージできますか?

きっと簡単ではないですね。

もっと長い10年、20年、30年先を

イメージすることなど不可能に近いです。

しかしあなたの現時点で分かる情報で

長期的な家計の見通しは立てることが

できます。

そこで予測する収入を楽観的ではなく

やや悲観的なベースで見ても返済が

大丈夫くらいが今の時代はちょうど

いいのかもしれません。

住宅購入で過度なリスクを取るのは

辞めておいた方が賢明です。

PS

今年起こったトレンドから来年を予測すると、

・先行きはますます不透明になる

・しかし家にいる時間が増え、家は欲しくなる

・政府は政策で住宅購入を後押ししてくる

という感じで今賃貸に住んでいる方は、

やっぱりっ持ち家がいいなあと思う

機会が増えるように思います。

しかし、返済は自己責任です。

もしあなたが家を建てたと思っていれば

無理のない返済金額を押さえておくことは

とても大事になります。

先行きの読めない時代に家計を

シミュレーションしても意味がない

と思われる方もいるかもしれません。

ですが今分かっているあなたの情報で

現時点の立ち位置を知り、

ローンの返済難易度を知るということは

住宅を購入するかどうかを客観的に

見極める材料となるでしょう。

コロナ禍で家を建てるのか?

いや、それとも建てないのか!?

客観的な材料が欲しい方は、

マイホーム予算診断サービス

ご活用いただければと思います。

昆 知宏
新潟住まいのお金相談室代表。新潟の住宅会社の営業マンとして働いた後、売り手の立場ではなく買い手の立場に立って住宅購入の相談ができる場所を作る為に独立した。

保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。

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