17年ぶりのマイナス金利解除|住宅ローンはどうなる?

日銀のマイナス金利がついに解除されました。
2024年3月19日に決定され、世界的にも異例な対応だったマイナス金利政策が大きく転換することになります。

今回の記事では、気になるであろう
「マイナス金利解除されると、住宅ローンってどう影響するの?」
という点を解説していきたいと思います。

変動金利上昇が近づく

変動金利が完全に上がるまでには、下記の8つのステップを踏む必要があります。

① 長期金利の操作(2023年実施済み)
② 固定金利上昇(2023年実施済み)
③ 長期金利誘導水準引き上げ(2023年実施済み)、操作の撤廃(⇒Now!!)
④ 固定型金利がさらに上昇する可能性(2023年実施済み、ただ本格上昇はまだこれから)
マイナス金利解除(⇒Now!!)
⑥ 一部銀行で新規に変動金利で借りる人の金利が上昇(⇒動きあり)
⑦ ゼロ金利政策解除(まだ)
⑧ 多くの銀行で変動金利上昇の可能性(まだ)

※ このステップは、以前に別記事でがっつり解説しています。
詳しくはこちらの記事をご覧ください

変動金利が上がる8つのステップ
5つ目が到来

今回のマイナス金利解除。
これは上記の5つの目のステップを登ったことになります。

変動金利新規借り入れの金利上昇

そして早速ステップ6に動きがでてきました。
「これから新規で住宅ローンを借りる人の優遇幅が縮小」
この方向性の動きが出てくるようです。

既に変動金利で組んでいる人はまだこのタイミングでは金利は動いていません。
ですが、新規の人は上がる可能性が出てきました。
これもステップ通りのことですね。

昨年の9月時点で⑤のマイナス金利が解除されるのは、2024年2月と予想されていました。

今回の決定はほぼ予定通りと言えます。
いきなり日銀がいきなり方針転換したわけでもありません。
つまり、多くの銀行にとっても予定通りの動きというわけです。

この段階では、銀行ごとの経営判断によって金利の差が出てくる可能性があります。
まだがんばって低金利を維持する銀行も残ることでしょう。

既に変動金利で借りている人の金利は…
徐々に金利は上がってくる確率が高いものの、
まだこの段階では全体的にすぐに金利が上がってくるという感じにはならないでしょう。

不安を増発する記事の乱発が心配

私がマイナス金利解除で、最も心配していることがあります。
それは、金利上昇の不安をフォーカスする記事がこれからネットに溢れかえるということです。

例えば、TVの経済番組

『2024年の変動金利予測が+0.4%。
その場合5,000万円35年返済の場合、毎月支払額が約9,000円上昇。
日本経済が賃上げ後も好調を維持した場合、変動金利は現在比で+2.8%(!!!)
その場合5,000万円35年返済の場合、毎月支払い額が約70,000円上昇(!!!)』

こんな恐ろしいことを、さらっと説明していたりしています。
でもこれじゃあ、賃上げが実現しても今より家計マイナスですよね。

大学教授のコメント(要約)でも…

『最悪のシナリオは、金利上昇、急激な物価上昇が起こり、インフレが止まらない。
しかし急激な物価上昇に賃上げが追いつかず、特に地方の企業、中小企業にしわ寄せが押し寄せる。
住宅ローン金利上昇により、多くのサラリーマンのローン破綻が社会問題化する。
結果、日本社会は二極化され、分断される可能性がある。政府は最悪のシナリオが実現しないように、セーフティーネットを考えるべきだ。』

こーんなかんじです。
正直、めっちゃ不安になりますよね。

今マイナス金利で記事検索すると、こんなのばかり出てきます。

私自身もコメントで心配される地方の中小企業の経営者なわけですが…。
賃上げできません(涙)
周りの経営者を見渡しても、同じような感じなのは言うまでもありません。

でもその破綻基準まで変動金利や物価が上がることは、ちょっと考えづらいかな…。
と、私は思ってます。

SNSのインプレ稼ぎ情報と距離をおきましょう

そして、経済番組よりもっと不安をあおってくるのはSNSです。

まだ上記の記事やコメントは、冷静な口調で可能性を言及しているだけなのでいいほうです。
X(旧twitter)ではアクセス数を稼ぐために、もっと煽り気味の投稿が目立ちます。
今後、ショート動画やyoutubeでも不安をあおる投稿が激増するでしょう。

なぜかというと、その方が投稿者が儲かるからです。

マイナス金利のデメリット・不安

マイナス金利のせいで...そして『結論=政府批判』みたいな記事。
これはアクセス数や「♡」を取りやすいのです。
だからこそ、感情を動かすような過剰な表現になっています。

あまり過激な投稿を真に受けすぎないようにしてください。

こんなのばかり見ていると、住宅ローンで変動金利を選択したあなたのメンタルが砕かれます。

住宅ローンはメンタルコントロールが大事です

最近の相談傾向でいうと、固定金利を望まれる方が増えてきています。
やはり皆、このようなニュースにかなり影響を受けているからだと感じます。

結局のところ変動金利が得なのか、固定金利が得なのかを言いあてることはできません。
将来の金利予測など誰にもできません。
(それが分かれば連動する金融商品を買えば大儲けです)

だからこそ、あなたの家計を長期に俯瞰的に見られるライフプラン作ることは大事です。

未来の家計予測を見ることで
・自分に合っている返し方を考えてみる
・変動金利で組んだ場合に金利上がった時にどういう家計状況になるかを把握する
このことが超重要なのです。

同時に、あなたのメンタル耐性も自問自答してみてください。
周りに影響されることが多いというあなた。
とくにネガティブな情報ですぐ不安になってしまう…ということはありませんか?
とてもじゃないけど、これからの不安を煽ってくる記事に耐えられないのではないでしょうか。

私が心配しているのは、あなたのメンタルです。
住宅購入を幸せな選択肢とするためにも、マイナス金利を機会にいろいろと思考を巡らせてみましょう。
ひとりで抱えているとマイナス思考になりそうなら、信頼できる金融知識を持った人間に相談してみてください。
きっと良い結果になりますよ。

マイナス金利解除後も家計の舵取りを

家計管理

マイナス金利解除。
これは実に17年ぶり。
17年前というと、あなたは何歳でしたか?
私はちょうど大学を卒業して、社会人になったばかりの頃。
金利なんて、なーんにも意識してませんでした。

経済の話で記憶に残っているのは、当時OJTしてもらっていた職場の先輩が電車の中で株の話を良くしていたくらい。
(先輩はその後のリーマンショックで大損したようですが...)

でも意識していなくとも、結果的に社会人になってからの17年間。
私にとって、社会人としての経済活動のすべてがマイナス金利と共に生きてきたのです。

だからこの先
「経済のベースとなる金利が変わる!」
と言われても…。何だか戸惑ってしまいます。
社会人としての私は、マイナス金利じゃない時代を経験していないからです。

『これまでの当たり前が当たり前でなくなる』と言われています。そしてこれは必然です。

変わりゆく経済の変化にどう乗っていくか。
これを機会に家計の舵取りとライフプランをしっかりしていきたいな、と私自身思っています。

PS
時代に節目に吹く、この新しい風を味方につけるか・つけないか。
真剣に考えてみたい方はマイホーム予算診断サービスを受けに来てくださいね!

昆 知宏
新潟住まいのお金相談室代表。新潟の住宅会社の営業マンとして働いた後、売り手の立場ではなく買い手の立場に立って住宅購入の相談ができる場所を作る為に独立した。

保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。

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