注文住宅が高すぎる? 規格住宅が主流となる時代の到来

「注文住宅が欲しい人は、少しでも早く建てた方がいいかもしれない」
以前から感じていたことですが、昨年からその思いが強まりました。

住宅業界では、注文住宅がますます高級品化。
規格住宅が業界の主体となる傾向が強まっています。
事実、ハウスメーカー最大手の大和ハウス工業でも経営方針シフトの発表がありました。
それは注文住宅からセミオーダー規格住宅と建売住宅中心へ完全にシフトしていく、というものです。

つまりざっくりいうと、注文住宅は手間がかかりすぎて利益が出ない。
利益をとると売れる価格にならない。
だから、今後は利益が出やすい住宅づくりに注力するということです。

この動きは新潟県でも見られます。

注文住宅が専門と思っていた住宅会社が、積極的に建売住宅を建てている風景をあなたも目にしませんか?
売れる家を積極的に作って、売っていく。
これが業界の傾向です。

なぜなら2024年は注文住宅が実際、大不振でした。
とはいえ、会社の規模が大きいほど、売り上げを維持しなくてはなりません。

高くなって売れない注文住宅のお客さんを待っていてはどうにもならない!
そこで、規格住宅・建売住宅へのシフトが迫られているのです。

「でも、家を建てるなら注文住宅に憧れているんだけど」
という方も多くいらっしゃると思います。

今回の記事では、その背景、トレンドの詳細、新潟での家づくりにおける具体的な注意点を解説します。

注文住宅が高級品となった背景

注文住宅はびっくりするほど価格が上がりました。

現在10年前の1.5倍ほど上昇しています。
単純に新潟の工務店で2,000万円であった住宅が3,000万円になっている時代です。
ハウスメーカーでは3,000万円だったものが4,500万円ほど。
それでも採算が合わないレベルで利益が減っています。
といって値段を上げれば、誰も買ってくれない…。という厳しい状況のようです。

では、なぜここまで価格は上がったのでしょうか。

住宅価格の上昇

建築コストの上昇


注文住宅の高級品化の背景には、材料費と人件費の高騰があります。

特にコロナが発端となっておこった木材の高騰(ウッドショック)や鉄鋼などの建築資材の価格が、国際的な需給バランスの変動や物流コストの上昇によって大幅に上昇しました。

また、熟練した職人の不足も深刻な問題です。
総合的な結果として、施工費が高くなっています。

この傾向は新潟県内でも例外ではありません。特に高いレベルで省エネ仕様が求められる昨今、さらなるコスト増加が懸念されます。

多様化するニーズと設計の複雑さ

注文住宅は顧客の多様な要望を反映させるため、設計から施工までに多大な時間と労力を必要とします。

まずは土地を調べて設計図を書くところからのゼロスタート。
出来上がった図面が構造的に成り立つように計算したり、デザインなどもゼロベースで決めていきます。

まさに一点もののフルオーダーです。

使用する材料や寸法も一棟一棟違います。
材料を大量に購入して値下げをはかるわけにもいかず、余っても他の現場での再利用はほぼ無理。
その材料を選別・手配する手間などもかかりとにかく労力がかかります。

これに加えて、携わる人たちの人件費がとにかくかかってくるのが注文住宅です。

大手ハウスメーカーではこれら費用が、消費者の求めるレベルで提供するには割に合わないレベルにまで到達した、ということです。

注文住宅といっても「標準仕様」が存在する大手ハウスメーカーでもこの事態。
完全な注文住宅を引き受けている会社では、かなりの工夫や努力が行われていることは想像に難くありません。

人気エリアの土地価格上昇

さらに土地の問題もあります。
新潟市内をはじめとする中心部では、利便性の高い土地の価格が上昇しています(利便性の低い土地は維持か下落)。

そのため特に多くの方が好む立地での注文住宅を建てるための初期コストが増加しています。
このような状況もあって、注文住宅を希望するも手が届かない。
そういう方が急増中です。そこで、住宅購入者がよりコストパフォーマンスの良い選択肢を求めはじめています。
そのひとつが規格住宅です。

規格住宅が選ばれる理由とその魅力

規格住宅は、住宅業界でますます主流になりつつあります。
新潟の中堅規模のメーカーでもその傾向は顕著です。

フルオーダーにしなくても、セミオーダーでコスパの良い物を求める。
そんな消費者がここ最近、急増しているからです。

コストパフォーマンスが良い

規格住宅は設計や仕様が標準化されています。
そのため材料を統一することによる大量発注によるコスト削減が可能です。

当初の商品開発こそ手間はかかるものの、一度設計した図面を何度も利用できることにより、人件費が抑えられるだけでなく、予算内で高品質な住宅を手に入れることができます。

建物の基本設計は完成しているので、主な打ち合わせを営業やコーディネーターの人が行っても完結できる点が強み。
設計コストを大幅に削ることができます。

間取りにおいて強い要望がなく、「普通の住みやすい間取りで大丈夫です!」というニーズの方には、規格住宅は注文住宅と比較してハイコスパとなります。

工期の短縮


注文住宅と比較して、規格住宅は事前に設計がある程度は完成しているため、施工(工事)期間が大幅に短縮されます。

家を作る際のマニュアル的なものが作成しやすく、熟練の職人でなくても家を作ることができる。
これが大きな利点です。

家づくりを考えてから、新居に住めるまでの期間が短いことも、その間の住居費といった様々な諸費用をカットすることができます。

品質が安定しやすい

大手をはじめとする住宅会社が提供する規格住宅。
これは、材料の一元化のもとルールに乗っ取った管理の下で建築されており、一定の品質が保証されています。
毎回違う材料を使うわけではないため、高品質なものを大量に仕入れられるメリットもでます。

また、費用を抑えるため熟練の大工を必要とするような複雑な設計が少ないのも特徴です。そのため、施工に関しても一定の品質を担保しやすくなっています。

最近では完成後30年以上の保証を付ける会社が目出すようになってきました。
耐震性や断熱性といった重要な性能についても、標準でもそれなりのスペックで備わっている家が最近は特に人気があります。

新潟県における注文住宅の位置づけは?

新潟県における注文住宅

ですが新潟県においては、首都圏とは違い地元の住宅会社の数も多いし競争のレベルの高いです。
そういった事情も相まって、なんだかんだ言ってまだ注文住宅は手に届く範囲内と言えます。

完全な高級品となるまだ一歩手前と言えるでしょう。

新潟県の地場メーカー注文住宅の相場

地元の住宅会社を選択した場合相場を見てみましょう。

坪単価の相場はコミコミで100万円前後です。
これは標準的な外構(駐車場コンクリート・地盤改良)を完備し、耐震性に優れ、断熱性も平均並みかやや並以上のスペックで見ています。

近年の標準的な3LDKでは延床面積は30坪ほど。
つまり、3,000万円の予算を見れば注文住宅を建てることができます。

断熱性能をさらに上げていけばいくほど。
外観や内観にこだわればこだわるほど。
ここから金額がまた上がっていきます。

断熱もデザインも必要十分でほどほどにいいもの。というものが、だいたい坪単価100万円くらいになります。

新潟県の地場メーカー規格住宅の相場

比較して規格住宅の相場はどうでしょうか。
耐震と省エネの性能を十分に満たしたものですと、坪単価は80~100万円程度です。

3,000万円を切って手に入れられる。
同価格帯の注文住宅よりも断熱性能が高い。
などといった理由で、近年人気があります。

坪単価100万円なら注文住宅と変わらない…。と感じるかもしれませんが、そこには性能の違いが現れます。

仕様にこだわらないかわりに、注文住宅と値段は変わらないものの、断熱性能はワンランク・ツーランク上のものを手に入れることができる。このような考え方もあります。

光熱費の高騰や寒暖差が激しい新潟県では、比較的坪単価の高い高断熱仕様の規格住宅が人気があります。

価格差は内装の仕上げと断熱で出やすい

とにかく安さ優先!という方には、規格住宅のなかでもローコスト系が視野に入ってきます。
デザインや性能をある程度割り切った住宅で2,500万円を切るものもあります。

デザインを割り切るとは、ださくなるということ?
簡単に言うと、基本的には量産タイプの建築材料のみを利用したものです。

アパートなどで良く見る扉や壁紙・外観などが主体となったデザインと考えれば分かりやすいかと思います。
TV台やキッチンキャビネットなども一切なく、基本的には家具屋さんで買ってきてください。というスタイルです。

耐震性に関しては価格の安い住宅でもしっかりと作られていることがほとんどです。

断熱性能については、価格が安い分、低くなっていることが多いです。
冬の寒さが厳しい新潟では、暖房効率の良い住宅の恩恵は受けやすいです。
断熱材の種類や窓の性能だけでなく、光熱費のシミュレーションなども住宅会社に聞いたり求めたりしておきましょう。
長期的にコストパフォーマンスが高い住宅をしっかりと選択した方が良いでしょう。

注文住宅と規格住宅の選択基準

住宅の選択基準

最終的に、注文住宅と規格住宅のどちらを選ぶべきかは、個々のライフスタイルや価値観によります。

「家族全員のこだわりを反映させたい」場合は、注文住宅。

「コストを抑えつつ効率的に建てたい」場合は、規格住宅。

といった選択基準が考えられます。

金額の違いは求める内容によってはそこまで大きく開くわけではありません。

家づくりは一生に一回でこれから何十年も住むことが前提です。
特に新潟県ではいずれ手放す前提で建てる人は少ないでしょう。

建ててから何十年もローンを払いながら
「こんなはずじゃなかった…」と思うのはつらいものです。
ですから、金額の大小だけに目を向けず、しかし無理のない範囲で自身の欲しい物をしっかりと見極めたほうが良いでしょう。

無理のない予算、注文か規格、どちらが良いかをFPに相談したいと思ったら

「新潟住まいのお金相談室」では、マイホーム予算診断サービスを受けてくださった方限定でマイホーム予算診断サービス住宅購入に関する総合的なサポートも提供しています。

家づくりを成功させるために、ぜひ一度ご相談ください。
新潟での理想の住まいを実現するための第一歩を、私たちと共に踏み出しましょう。

お申込みはこちら

大事なのは、無理のない予算を知ることからです。

昆 知宏
新潟住まいのお金相談室代表。新潟の住宅会社の営業マンとして働いた後、売り手の立場ではなく買い手の立場に立って住宅購入の相談ができる場所を作る為に独立した。

保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。

関連記事