「終の棲家を購入したい。」
新潟住まいのお金相談室に、間もなく定年を向かえるSさん夫妻が相談に来られました。
「退職金は1,000万円以上でほぼ確定です。正確には1,100万円代後半になります。」
「年金収入もあるはずだし、たぶん大丈夫だと思ってはいるのですがこういった仕事をされているという方がいると聞いて訪ねてみました。」
Sさんからは今までの人生のこと。
これから思い描く未来。
いろいろのことをお話頂きました。
そしていざ予算診断をするというところで、難航することがひとつありました。
年金っていくらもらえるの?
そう、年金額がいくらなのか具体的に分からないということです。
今後の収入の柱となる”年金”の精度が悪いとシミュレーションの意味がありません。
なのでここをまず確定させないと話は進みません。
ここまでの勤務歴や年金納入歴がほぼ確定しているSさん。
ならばということで、”社会保険事務所”に出向いていただき正確な年金額の確認からスタートとなりました。
そこで具体的な金額が算出できて、「いくらまでの住宅なら買っても大丈夫か?」という診断ができます。
思ったより年金って少ない
さて、実際にその年金額がかなりの精度で分かるようになりいよいよ予算診断開始。
しかしSさんの場合、現在の水準を維持したまま不動産を購入すると…
老後貧困の末に、老後破たんの可能性がとても高いという判定結果となってしまいました。
結論からいうと、このまま賃貸で暮らしていたほうが人生は豊かに感じられるのではという感じです。
家づくりを楽しみに相談に来られたのになんだか申し訳ない気持ちの反面、”私がこの仕事をしている意味”を改めて考えました。
リアルに支給される年金額が分かると私たちの世代では、なんとなく期待してはいけないことが鮮明になります。
特に私たち世代が現支給者並みの額を希望するのあれば、70歳まで勤務して70歳以降に年金を受け取らないとどうも厳しいようですね。
60歳・65歳リタイヤを計画にするには、資産運用などをかなり積極的に活用していかないとまず難しいでしょう。
もしくは70歳まで勤められる能力や体力を今のうちからつけておいか。
なんだかなあ...ですよね。
年金不足を解消するために、NISA(非課税投資制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった仕組みを国は積極的に推進をしていますがまだ浸透率は低く今後はやっていた人とやらなかった人の差が、相当に開くことが確実視されています。
もし住宅の売り手側に相談していたら?
話を戻します。
Sさんは住宅ローンも問題なく通るし、自己資金もたくさんあります。
私も”予算診断サービス”をする前までは感覚的にも「大丈夫かな~」なんて思っていました。
そのためSさんがもしはじめに私ではなく、住宅屋さんに相談していれば間違いなくそのまま家を買っていたでしょう。
ほとんどの営業マンも実際に売っても何の問題もなく返済できると感じるように思います。
しかし、実際は違いました。
もし家を購入してしまっていたら高齢期に住宅を手放すことになっていたかもしれません。
その可能性が極めて高かったのです。
このタイミングで家計のシミュレーションを作ってみようと思ったSさんは人生のターニングポイントだったかもしれません。
当然ながらこれは20代、30代、40代のどのステージに立たれていても住宅購入というとてつもない借金をする方であれば全く同じことが言えます。
30代、40代の方は早期に対策を
年齢を重ねてからですとできる対策は、残念ながら限られてきます。
今回の場合は、
・家計の根本的な見直し
・現在加入されている保険会社内での見直し
(※新しく保険に入ることが難しかったため)
で月々のコストダウンに成功していますが、これを30代、40代からできていたとすると『人生で1,000万円以上のお金を無駄にせずに済んだ』ということにもなります。
日々の光熱費を節約するよりも、こういった積み重ねが人生のお金を大きく左右します。
電気代や水道代を気にするのもいいですが、無駄な保険を加入したり家づくりの方法を間違えると...
『1年中エアコン全開状態』
『お風呂に入っている間、お湯の蛇口全開状態』
これらを実際にやってしまったかのように出ていくお金は全く一緒です。
こう考えると、すごく嫌ですよね。
これからの時代は世帯年収がよっぽど高くない方以外は厳しい時代に突入します。
2019年に発表された「老後2,000万円問題」がこの国の真実です。
老後を豊かに過ごすために早期にできることは少しでも早く確実にしていきましょう。
保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。