【書籍ライフシフト2】FPが読んで考えた100年時代のライフプラン

「最近、楽しくない。家族としての役割をまっとうするには今のままがベストなのだろうが、果たして本当にそれでいいのだろうか…」

あなたもこんなふうに思ったことはありませんか?
こういったことは特に住宅を購入し住宅ローンを抱え、仕事や育児が忙しくなると多くの人がどうも通る道のようです。

今を生きる私たちの平均寿命は80代。
これからは人生100年時代と言われていますよね。
なんとなくなのですが、私は今38歳。特に何もなければ男性なら90歳くらいまで生きるのがスタンダードな感じがします。

私がこれまで生きてきて受けた教育の価値観だと、そろそろ人生の折り返し地点..というところでキャリアのピークに向けて何をすべきかと考えるところなのですが、仕事におけるゴールはまだずいぶん先にありそうです。そんな状況下で生涯に渡り仕事からの収入を得て、充実感を持ちながら過ごすにはどうしたらよいのか。現代を生きる私たちのテーマと言えます。

世間では複利運用のつみたてNISAが流行っています。これはできるだけ早く始めて時間をお金を変えていくという考え方ですが、同時に生涯に渡るスキルや人脈についても早くから考えたり行動した人が充実した人生を過ごせるポイントとなってきそうです。

このような内容をまとめたこれからの人生100年時代のバイブルとも言える書籍「ライフシフト」という本があり話題になりました。事務所の本棚にも置いてあるので「私も読みました」という方が結構いらっしゃいました。そして、その続編である「ライフシフト2」が10月に出たということでしたのでじっくり読んでみました。

端的に言うと、いわゆる私たちの親世代が送ってきたような今までの人生プランは通用しづらくなっているから早期に対策を打って行動を起こしましょうという内容の本でした。特にコロナによって価値観が劇的に変わりつつある世の中で、どう時代に合わせて生きていくのかについて考えさせられました。日ごろあまり考えないことなので、ゆっくり時間をとって読書をしながら未来を見つめてみることは貴重な機会になるかもしれないですね。

60歳以降の人生戦略を意識

ライフシフト2を読んでファイナンシャルプランナー的に気になったところを今日はシェアしていきたいと思います。

日本では60~70歳の何歳でも年金の受給を開始できて、受給開始を遅らせるほど受給額が増える仕組みを採用しているが、70歳を超えても働く人は少なくない。70~74歳の日本人の30%以上が仕事をもっている。アメリカでは20%、イギリスでは10%あまりだが、両国ともにこの割合は上昇傾向にある。...70代まで働くこと、さらには80代でもなんからなの形で80代まで働くことが当たり前になるのだろう。

ライフシフト2 p105

これについては、日ごろライフプランを作っていると90%以上の方が、60歳以降も働いて収入を得なければ生活が成り立たないことが確認されており既に必須事項です。あなたも65歳までは働く前提のイメージをきっとお持ちかと思います。一昔前の60歳リタイヤからの年金生活というのは幻想であり、不可能に近いレベルにまでなっています。更には65歳以降でも感覚的には30%くらいの方が働いて収入を得ないと生活が成り立たないということが分かります。実際には既に70歳以降でも30%仕事を持っているということで、今後年金額がさらに減ってくれば少しでも長く働いて収入を得ることの大事さは増してきます。

その時に自分が何をするのか?という点についてですが定年までは今の仕事をするにしても、そのあとは何をやっていけば良いのかなんて途方に暮れてしまいますよね。書籍の中では55歳で職場から解雇された公認会計士さんが、全く異なるジャンルで自分自身を探索しながら再チャレンジするというアプローチも紹介されていました。職場からの解雇や、定年でリセットされたあとに一気に白紙とならないように日ごろからスキルアップをしたり興味がある分野を開拓していったりすることが、のちの財産になるのは言うまでもありません。

人生を充実させるためには結局自分自身が何をどう感じて、どうしたいかに尽きるわけですので日頃から考える時間を持つことは大事だと気付きます。最後は行動を起こすかどうかに尽きるので、お金になるかどうかではなくて考えて行動する練習をまずしてみるのがポイントです。その思考手順なども書籍では紹介してあったので、一度イメージしておくと今後の生き方や仕事への取り組み方もプラスの方へ変わっていくように思います。

究極の結論?悟りの言葉

チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は、人間について驚かされるのはどの点かと尋ねられて、こう述べたことがある。「人は金を稼ぐために健康を犠牲にし、健康を取り戻すために金を犠牲にする。また、未来を心配しすぎるあまり、現在を楽しめない。その結果、現在を生きることを未来を生きることもできなくなってしまっている。そして、自分の命が永遠に続くかのように日々を漫然と生き、真の意味で生きることがないまま死んでいく。」

ライフシフト2 p115

今のままの仕事をし続けさえいれば、お金に困ることはないのに必要以上にお金を未来に送りすぎている人が最近は目立ちます。将来の不安からかそのような行動をとるのはむしろ普通かと思います。しかしそのために、健康を犠牲にして仕事に打ち込みすぎては元も子もないですよね。こういうのは分かっていはいるのですが一度そのサイクルに入ってしまうのと抜け出すのは容易ではないことも分かります。そのままズルズル行ってしまうとメンタルの乱れを起こしたり、体そのものを壊してしまうということはよくあることです。

特に30代後半から40代前半にそういった傾向にある方を実際に多く見てきているので、今まさにその年齢にいる自分も気を付けるようにしています。特に男性の厄年である42歳にはあらゆるエネルギーが一度下がっていく周期にあるようです。これはスピリチュアルなことではなくて、男女問わず42歳ころはちょうど家庭や子どものこと、仕事・ローンのプレッシャーのピークに当たる時期とも重なりやすいからだと思います。これらの悩みやプレッシャーは決してあなただけではなくみんなに共通することですから、その時に必要以上に深刻に受け止めず「いよいよ来たな」くらいの気持ちで考えるとまた結果は違ってくるかもしれません。あらかじめ、そういう時期が来ると想定しておけば気持ちは楽です。

私は登山をするのですが、登山はアップダウンが激しくて特に頂上の手前は急登が続きます。この時に、最後の登りがあることは事前に知っているのだからその体力と気力をいかに残しておくかがポイントになります。最後まで行けなそうであえば早期に撤退を考えます。無事に帰れないリスクが増すからです。子どもと行く場合は、子どもの気力・体力も想定します。

これと同じような形で、人生の最初のピークが42歳だとすると30代に無理をしすぎると登れないということなのでしょう。そのためには、日ごろから無理をしすぎないで自分を把握しながら40代で危険水域を割らないように気持ちの貯金をしておくことが大事です。またそれは自分だけではなく人生の併走者がいるのであればお互いのペースをしっかりと見ていく必要があります。前だけではなく、横や後ろもしっかりと確認しながら進んでいければ、充実感を持って生きていけるのではないかと思うのです。

みんなが不安に思う自分の生き方

30代は40代は脇目も振らずに一つの道を歩み続けるのが当たり前だった。仕事は過酷だし、家庭では育児や介護に忙殺される。もちろん、そのような日々にも楽しいことは多い。しかし、この時期に人生の幸福度が最も落ち込む人が多いという研究結果も報告されている。人生を通した幸福度をグラフ化すると、その曲線(ハッピーカーブ)はU字型を描き、中年期に最も大きく下落するのが分かってきた。この世代は、育児、仕事、介護という3つの重荷に挟まれて最も身動きのとりづらいサンドイッチ世代と言えるだろう。

ライフシフト2 p149

これは先ほどのことと重なりますね。

実は最近、冒頭のような「最近、楽しくない。家族としての役割をまっとうするには今のままがベストなのだろうが、果たして本当にそれでいいのだろうか…」というご相談が多いのです。家づくりをご一緒した方で、家を建てて1年、2年後に改めて人生プランを再考したいというご相談です。

コロナで家にいる時間を多く持てたことで価値観の変化があなただけではなく全体的に起きています。「家族との時間・自分の時間をもっと作りたい。しかしその場合、収入が下がってしまうが行動を起こしても大丈夫なのだろうか?」ということです。例えば、残業をしない・夜勤をしない・転勤をしない・時短勤務にしたいなどという希望は、以前よりは希望が通るような社会になってきています。10年前では考えられないことです。

しかしあなたが希望を聞いてもらうことと引き換えに、あなたの給与は減ってしまいます。この時に家計は成立するのか、住宅ローンは返していけるのかことが障害となり結局具体的なアクションを取れない方が大多数かと思うのです。そして、ストレスを抱えたまま仕事を続けた結果いつか人生で大きな急登に差し掛かると登れる気力・体力がないことに気付くという展開ですね。これはそうなった自分を悔いるのではなくて、現在の日本社会であればそのほうがスタンダートですから何ら気負うことは本来はありません。大丈夫です。

結論から言うと、収支的にローン返済が大丈夫であればすぐにでも勤務時間や勤務縛りを外せばいいのです。欲しいものがあれば、無理のない範囲であれば買えばいいのです。あなたの時間は今しかありません。何もかも先送りしすぎていませんか?従来の価値観が30代、40代は仕事を全力で頑張って、60歳以降に悠々自適に過ごせばいいというものなのですがコロナで一気にそれってどうなの?となっています。社会もその変化に柔軟に対応しつつあります。

30代、40代は仕事やスキルアップに尽力しつつも、仕事への時間投資は限度を決めてしっかりと家族や自分との時間を持って今しかない人生を楽しんだ方が私はいいと思っています。特に子どもがいる家庭の方は、本来は一番会社や組織のために働くべきとされている30代こそいったん給与は下がってでも自分や家族の時間を作り、子どもが大きくなってきて40代、50代から再度フルパワーでいき、その余韻で65歳~70歳前後までやっていくという一つの考えかもアリなのではと思います。少なくても私たちの子どもの代では、今のような年齢におけるキャリアプランというか、年功序列のような型にはまった考え方は撤廃されていることでしょう。ライフシフト2でも、年齢の枠に無理に落とし込むなという考え方が書いてあり私は非常に共感を持てました。

何度も言うようですが、家を買って子育てをして仕事が忙しくなってつらい..というのはあなただけではなくみんなが通る道です。それにより統計上40代からは幸福度は下がっていく時期に入るため、「あ、来たな」くらいにやり過ごす余裕が持っておければベストです。更に踏み込んでこの時期さえもプラス転換していきたいとあなたが思うのあれば、ライフシフト2が提唱する『100年時代の行動戦略』を考え実行に移していけば充実した人生を過ごせるようになるかもしれません。

(今日紹介した本)

PS

将来におけるライフプランの柔軟な変化に対応しておきたいとあなたが思うのであれば、住宅ローン借入額は慎重に決めなければなりません。今は低金利ですからあなたが望めば、あなたの欲しいものは簡単に手に入れられる時代です。しかし、欲しいものを手に入れたとたんに達成感は薄れ、家族との時間や自分の時間に重きを置きたいようになるかもしれません。その時に、柔軟性のあるライフプランを作っておけば収入ダウンし時間を作る選択肢を取れる可能性もあります。目一杯のローンを組んでしまっていると、働いていればローンを返すことはできますが選択肢を持つことができなくなります。

100年時代の人生戦略は、あなたがどの不動産を所有するかにも大きく影響をしてきます。あなたがじっくりと考えてみたいともし思ったのであれば、マイホーム予算診断サービスでも人生の柔軟性を計り知ることが可能になります。

昆 知宏
新潟住まいのお金相談室代表。新潟の住宅会社の営業マンとして働いた後、売り手の立場ではなく買い手の立場に立って住宅購入の相談ができる場所を作る為に独立した。

保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。

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