【11/20更新】2022年の住宅ローン減税はどうなる?

2021年9月30日までに住宅会社との契約をすると、メリットを総取り!...。いわゆる注文住宅の駆け込みが終わって早1か月。

メリットとは、住宅ローン減税が10年→13年間。すまい給付金を最大50万円ゲットできる。住宅に関しての贈与を最大1,500万円非課税で受け取れる。さらにタイミングによってはグリーンポイント制度も付与します!という感じで先月9月住宅業界は大盛況でした。

とりあえずこの駆け込みが終わり住宅業界の新規需要は落ち着いてきています。このまま落ち着いたままだと消費需要が冷え込んでしまうので来年以降の優遇策を現在国が揉んでいるところなのですが、今は(2021年11月20日現在)来年以降の特典はまだ不透明。

年末になると来年の住宅取得に対しての国の制度が発表になるのですが、今は特段何も決まっていない状態で「期待して待つ」といったところです。

では来年以降はどういうものが出てきそうなのか?

2021年11月19日にまずは住宅ローン減税の来年度案の骨格が出てきましたのでそちらについてまとめていきたいと思います。

住宅ローン減税は1.0→0.7%に縮小か?

住宅ローンを組んで家を建てると、借入残高に合わせて税金からキャッシュバックされる制度を住宅ローン減税と言います。

例えば3,000万円を借りると、ローンを借りて1年目の残高は3,000万円近くありますよね。

これまでは1%が減税対象であり、3,000万円の1%は30万円となるわけですが、あなたが30万円以上所得税・住民税(ざっくり言うと)を払っていればまるまるキャッシュバックされるという地味ながら家計に与える影響が大きい制度でした。しかもこれが13年も続くというのが、2021年9月30日までに契約をした人へのルールでした。(建売などは11月30日まで)

この制度は過去ずっと行われてきた制度ですから、来年になっても続いていくことが確実ですが肝心なのはその内容です。今までよりも変わるのは確実のようで案として発表があったのは、日本経済新聞の記事によると以下の3つです。

1つ目は、住宅ローン控除率を1%→0.7%へ縮小。

2つ目は、減税期間を13年→15年以上へ。

3つ目は、借入限度額を4,000万円から5,000万円へ。

まだ確定事項ではありませんが、例年この時期に記事になるような内容はそこそこ信ぴょう性がありますから、どうも控除率は下げるけど期間を維持するか延長するかが既定路線になりそうですね。

仮に現行の「減税1%→13年」が「減税0.7%→15年」になったとするとどちらが得なのか非常に分かりづらいです。

シミュレーションをするのも面倒で躊躇してしまうレベルですが、それが狙いでもあるような気がします。パッと見てどっちが得なのかそんなのかを分かりづらくするのはとても良くあることですからね。とにかく得な気がするとなんとなく思ってもらえることが国の消費刺激策としては効果的なわけです。

どっちが得か電卓を叩いてみた

あなたの年収や借入額などの前提条件によって一概には言えないことは大前提ではあるのですが、仮に年収600万円くらいの人が住宅ローンを3,000万円を金利1%で借りたような想定で電卓を叩いてみました。

旧ルールは減税1%の13年、新ルールは仮に減税0.7%の15年。ちなみにどっちが有利になると思いますか?私は旧ルールのほうがやっぱりいいようになんとなく思います。その前提でシミュレーションを始めてみました。

結果はどうなったかと言いますと、旧ルールの予想減税額が約321万円。新ルールの予想減税額は251万円でした。新潟でよくありがちな前提でのシミュレーションだと、旧ルールのほうが圧勝となってしまいました。この試算を見ると、仮に現時点で有力となっている控除率を1%→0.7%に引き下げた場合は、期間は15年以上にしてもらわないとかなり損することになってしまいます。なので、期間については最悪でも現状の13年を維持するか、15年に延長になる線が強いのではないかと個人的には思いました。

一方で借入限度額が4,000→5,000万円に拡大される場合については、住宅ローンの借入額が大きくなりそうな人にとってはメリットがでてくるわけではありますが、今までも長期優良住宅であれば5,000万円までは減税対象であったのでそこまで大きなインパクトではないかなというところです。

サプライズで減税期間が20年になればかなり魅力的ですね。検討案は15年以上となっているので可能性はゼロじゃないでしょう。まあ、それでも旧ルールのほうが上記の前提条件だと有利には変わりないのですが...個人的にはインパクトがあるので20年減税をやってほしいですね。

今言えるのは、9月30日までに駆け込みをした方にとっては素直に良かったですね、おめでとうございますということです。

というか、なんでそんな余計なことするの?

これから家を買おうと思っている人が間違いなく思うのは、年々コロコロ変えないでくれよというのが本音だと思います。今までのルールのままでもいいじゃんと思いますよね。

今回改定が入ったのは、住宅ローン金利の低下によるものです。減税率を1%にしてしまうと、住宅ローンを0.5%などで借りている人は支払う利息よりも、戻ってくる税金(1%)の方が多くなってしまい、「それはおかしいだろ!」ということが事の発端です。ローンを組むことによってむしろトクをしてしまう、家を買えるような余裕のある人だけが有利になっておりその財源が税金ですというのが問題視されメスが入るのです。

私はそういった背景があったので個人的には今後は0.5%で住宅ローンを借りた人にはその金利が上限で住宅ローン減税になるのかなと思っていましたが、一律0.7%になる線で今は議論されているみたいですね。そうなると、今後も0.5%で借りた人は0.2%分がトクになってしまうので「それはおかしいだろ!」という根本的な問題の解決にはなっていないように思うのですが、事務の煩雑さやあとで住宅ローンを借り換えたときにややこしくなるので一律に揃える感じにするのだと思います。

第四北越銀行をはじめとする新潟の地方銀行では軒並み変動金利は0.725%であるため、0.7%控除だとほぼほぼフル控除であることには変わりありません。実情を考えると、控除率0.7%は折衷案で合理的とも確かに思います。

正式に新ルールが発表になるのは年末なのでその時にもしっかりまとめ記事を書きますが、現時点(11月20日)で分かる情報はこんなところです。

PS

9月末駆け込みが終わり、土地の争奪戦も終わりまして新着情報もいい物が前よりもポツポツと出てくるようになってきています。年末の具体的な政策に向けて賢く無駄なく住宅購入をしたい人が今できることは、無理のない借入金額の把握です。ぜひマイホーム予算診断サービスを活用してまずは無理のない借入金額を把握し、年末年始に具体的なアクションを取れるようにしてくださいね。

昆 知宏
新潟住まいのお金相談室代表。新潟の住宅会社の営業マンとして働いた後、売り手の立場ではなく買い手の立場に立って住宅購入の相談ができる場所を作る為に独立した。

保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。

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