【住宅専門FPの考察】2025年が家づくりに最適な1年であると思う理由

あけましておめでとうございます。
今年家づくりを考えている人に、2025年がどんな年になるのか?
新年最初の記事は、このテーマについて書いていきたいと思います。

最初に結論をいうと、2025年は住宅購入においてはかなり良い1年になると言えます。
お金の話題的にはあなたの背中を押せる要素があります。
(占い的なことではありません。FPである私自身もこれらの要素から判断して住宅の大規模修繕を今年実行します)

なぜ良いかというと、住宅購入においての総取得コストが2026年以降が上がっていく可能性がほぼ確実。
2025年中に家を建てて住むという行動に対して明確なメリットが存在しているからです。

順番に説明していきますね。

住宅購入の総コストとは?

はじめに住宅購入の総コストの定義をご説明します。

① 住宅取得費(土地込み)
② 住宅ローンの支払利息
③ 住宅ローン減税額
④ 補助金

家計においての住宅購入費用は、大きく分けるこの①~④に大別されます。

①住宅取得費

① はいわゆる住宅会社の発行する見積書・資金計画書に記載されている金額です。
今回のあなたの住宅購入計画において、『土地+建物本体工事費+付帯・外構工事+諸費用』の総額を表したものとなります。

例えば土地が1,500万円、建物本体2,500万円。
地盤改良や駐車場整備などの外構費用が500万円。
銀行関係などの諸費用が200万円。

とすると、総額は4,700万円となります。

多くの人がこの合計値でイメージを組み立てて「4,000万円以下、5,000万円以下」など、この合計金額を見て予算を考えていきます。

②住宅ローンの支払利息

総額が分かった後に次に決めるべきことは、住宅ローンをいくら借りるのかということです。

例えば①が4,700万円の場合を考えてみましょう。
頭金が200万円なら住宅ローンの借入金額は4,500万円となりますよね。もし頭金を700万円払えるのなら住宅ローンの借入金額は4,000万円となります。

今回は住宅ローンを4,500万円借り入れた場合で考えてみましょう。
金利が1%で35年返済で借りるとすると、利息も含めた最終的な支払額は5,335万円。利息負担は約835万円となります。

つまり、住宅購入価格が頭金200万円+住宅ローンの利息込みの取得費が5,335万円であったとすると、家計の支出は200+5,335=5,535万円となります。

仮に金利が0.5%上がると住宅ローンの利息込みの取得費は5,786万円。
利息負担は約1,286万円となります。
家計の支出は頭金200+5,786万円となり、5,986万円にもなります。

これだけのお金があなたの家計から支出として実際は減っていくのです。

③住宅ローン減税額

次に戻ってくるお金の話です。

2025年中は住宅ローンを組んで家を建てた場合には、住宅ローン減税という制度があります。

いろいろな条件にもよりますが、数百万円の還付を受けられるケースが多い制度です。
絶対に狙ってとりたい制度であることは間違いありません。

ケースバイケースではありますが、家にかかる消費税(10%)くらいは住宅ローン減税によって還付を受けられる方が多い印象を受けます。

④補助金

次も戻ってくるお金の話です。
2025年は子育てグリーン住宅支援事業という補助金が存在します。

今年新築を建てるのであれば、これは絶対に狙いたい制度です。
具体的には建物の性能や省エネレベルによって40~160万円の補助を受けられます。金額が大きくなるほど省エネについて求められるハードルが高くなります。つまり、家の価格も比例して上がっていきます。

※リフォームの場合も補助金がありますが、今回の記事は新築前提で書いています。

家計においての住宅購入総コストの計算式

ここまで書いてきたようにあなたの家計における住宅購入コストは①~④の要素によってきまってきます。

式として表すと、以下のようになります。

① 住宅取得費+②住宅ローン支払利息-(③住宅ローン補助金+④補助金)

例えば『住宅取得費は4,700万円 支払利息1,286万円。減税額が300万円、補助金が60万円』の場合は、

『4,700+1,286-(300+60)=5,626万円』
これがあなたの家計においての住宅購入総コストとなります。

住宅会社からの見積もり上の金額ではなく、実際は支払う利息を含めた総コストに目を向けましょう。

この数値によって家計の圧迫具合、住宅ローンの返済難易度が決まってくるのです。

失敗しない住宅購入のポイントとしては、住宅購入価格は利息込みの最終負担で計画を立てる必要があるということです。

2025年が住宅購入に適している4つの理由

支払うお金と戻ってくるお金

2025年がなぜ住宅購入でいい1年なのでしょうか?
その理由は4つありますので、それぞれ解説していきます。

まずは住宅購入の総コストを①②③④と内容を見てもらいましたね。
それぞれをグループに分けます。

【支払うお金】

① 住宅取得費
② 住宅ローン支払利息

【戻ってくるお金】

③住宅ローン減税、還付額
④子育てグリーン住宅支援事業(2025)の補助金


このように分類されます。

支払うお金は、少ない方がいいですよね。
戻ってくるお金は、大きい方がいいですよね。

しかしながら
①住宅購入費
②住宅ローン利息

これら支払うお金は向こう5年、10年で2025年が最安となる可能性が濃厚。
今後、支払うお金はさらに上がっていくこと可能性が高い。

さらに
③住宅ローン減税額
④補助金

こちらの戻ってくるお金は2025年の条件が有利で、2026年以降は改悪になる可能性が高い。
今後、戻ってくるお金は下がっていく可能性が高い。

これが2025年が住宅購入に適していると考える理由になります。

住宅取得費の高騰

今に始まったことではありませんが、住宅価格は年々高騰しています。

特に去年2024年は勢いで住宅を購入しようと思う人が大きく減った実感がありました。大きな一線を越えた印象があります。
コロナ以後に始まった歴史的な円安(一時1ドル160円代)。
世界情勢の不安定化による輸入材料が中心となる家の原材料価格高騰。
これらにより住宅の価格は大きく上がりました。

すでに高止まりかという雰囲気も見えません。今後もまだまだ住宅価格は上がりそうな印象があります。
さらに特に2026年以降、住宅価格の上昇に影響してきそうなことは人件費の高騰です。

住宅に関わる人件費の高騰

物価上昇はまだまだこれから

大手企業を始めとする”賃上げ”は本格的に実施され、大企業は利益を維持するために価格転嫁を確実に行ってきます。

さらに賃上げは国をあげての方針です。となると、実行しない企業に事実上のペナルティを科したり、賃上げを実施する企業を優遇するなどの政策がこれから実行されてくることが予想されます。地方の企業にもこの流れはいずれやってきます。

賃上げは私たちにとっていい部分ももちろんあります。ですが、住宅価格は人件費の塊と言われています。
その影響は大きいでしょう。

1つの家を作るのに関わる人は300人くらいとも言われています。

住宅会社の人だけではありません。
実際に工事をしてくれる人、建築材料を扱う会社の人、申請関係の書類を処理する人、行政の人。多くの人が動き働き、この費用が高騰すれば確実に住宅価格に影響してくることはいうまでもありません。

2026年以降、本格的にその影響が地方にも出てくると私は見ています。そういった大きな渦が発生して物価上昇(インフレ)が本格的に始まり、あらゆるものの価格がもう一段高くなると私は考えています。

住宅ローン金利が上昇傾向

『2025年秋にも政策金利0.75%視野(2024年12月31日 日本経済新聞)』

年末に新聞記事になっていたように、2025年は住宅ローン金利はほぼ確実に上がります。
金利を決定する日本銀行が目標としているからです。

変動金利の指標となる金利を”政策金利”というのですが、今現在は(2025年1月1日)0.25%です。

昨年7月にこの政策金利が0.15%上がり、長く不動であった変動金利も比例して上昇したことは、記憶に新しいところです。

新潟でNo1の知名度である第四北越銀行。
こちらも例外ではありません。住宅ローンの変動金利が0.725%から0.875%へ0.15%上昇をしました。

政策金利が2025年秋までにあとプラス0.5%が実現したとすれば、変動金利は今よりもさらに0.5%上がって1.375%近辺まで上昇することになります。

そうなると、金利の安いネット銀行においても変動金利が1%近辺で推移することでしょう。この未来はそう遠くないのではないでしょうか。

4,500万円の借入で、金利がわずか0.5%違う。これだけで住宅支払総額に450万円もの差が出てきます。

2026年以降も上昇が続くと、これは家計に確実に影響を与えるレベルです。
おそらく一度上がった金利はそう簡単に下がりません。極端には大きく上がらずとも小さな上昇を繰り返していく傾向が当面は続くものと予想します。

住宅ローン減税が改悪傾向

住宅ローン減税制度は2025年までとなっています。
子育て・若年夫婦世帯の最大減税額の拡大も2024年末で終了する予定から、1年間延長されました。

住宅ローン減税については、2025年12月31日までに入居していることが条件になります。ので、今年家づくりをお考えの方は2025年中に新居に住むというのがひとつの目標になります。逆算すると遅くても夏までには工事を開始していないと間にあいません。

今年家づくりを考える方の時期の目標として覚えておきましょう。

「2026年以降の住宅ローン減税はなくなるのか?」という問いの答えは今のところ分からず、私は改悪されると予想します。

個人的には減税額が減り、減税が受けるために求められる住宅性能も高まる形で維持されるのではないかと見ています。
現行ローン減税期間は13年間です。
これは、元々は消費増税の特別措置であったものが、ズルズルとコロナ対策で延長されたものであるという背景があります。ですから、2026年以降は10年間に短縮される可能性が高いのではないかと思います。

現時点で明確なのは、今年は条件のいい制度がしっかり残っているということ。来年以降は全くの白紙ということです。

※2025年は下記のルールで実施です。(2024年のものを特例でそのまま1年間延長)

補助金のハードルも上昇傾向

2024年と比較して補助金獲得における住宅性能のハードルが2025年はグッと上がりました。
また2024年と同様の性能の家づくり(長期優良住宅・ZEH住宅)であれば2025年は昨年比で実質の減額です。

2026年以降は、この流れから予測するとさらに条件が厳しくなることが予想されます。
補助金を獲得するための住宅性能のハードルがさらに高まり2025年はGX志向型という枠が新設されました。

しかしGX志向型は超ハイスペックな家しか該当せず、その補助金を受けるために家を作ると価格が相当に高くなります。

普通の性能の家にはまともな補助金が出ないか減額…という傾向が強くなっていく流れではあります。

2025年は子育て世代に限ってとはなりますが、長期優良住宅基準で家を建てると、初期コストと受け取れる補助金のバランスがうまく取れますので、こちらを確実にゲットしにいくというのがねらい目となりそうです。

2025年住宅購入が適している理由

以上をふまえて、私が2025年をおすすめする理由をまとめていきます。

  • 本格的に物価上昇する前である
    (人件費はまだ完全に転嫁されない)
  • 金利が上昇局面に入る直前
    (変動派は少しでも元金減らせる、固定派は本格上昇前に固定可能)
  • 現行の住宅ローン減税が12月までに入居で使える
    (2026年は過去の背景から存続しても改悪の可能性が高い)
  • 超ハイスペック住宅でなくても補助金取得可能
    (年々補助金に求められる住宅性能のハードルがアップ傾向)

2026年以降との比較でみると、有利と思われる点が明確にあります。(一部予想も含みます)

家づくりで失敗したくなければライフプランしっかり作ろう

ライフプランシミュレーション

ただし、そもそも住宅取得費は2025年現在でも大きく上がってしまっています。

毎月の返済額は10万円オーバーは確実になってきている状況。
それでも、家を建ててからも旅行を楽しんだり、子どもに習い事などの費用を支払っていける余力を残しておきたい。そう思うのであれば必ずライフプランニングを立ててから家づくりを行ってください。

失敗を避ける唯一の方法は、無理のない借入金額で家を建てることです。
新潟住まいのお金相談室のマイホーム予算診断サービスでは、今日お伝えした①~④の要素を加味してあなたの家計における住宅購入価格をズバッと算出することができます。

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昆 知宏
新潟住まいのお金相談室代表。新潟の住宅会社の営業マンとして働いた後、売り手の立場ではなく買い手の立場に立って住宅購入の相談ができる場所を作る為に独立した。

保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。

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