なぜ人は住宅ローンを破たんをしてしまうのか

夜の時間にNHKを見ていると、

住宅ローンが払えなくなった人の

特集が最近目につきます。

共通する理由はコロナの影響で収入が

下がり月々の住居費用が圧迫したころに

よるもの。

このままの状態が続くと自己破産しか

選択肢がなくなってしまうため、

手を打てるうちに住宅を売却して、

引っ越しをする..といった内容で

あったかと思います。

誰だって家を購入する時には、

こんなふうになりたいだなんて

思っていません。

自分たちが考えていたシナリオを

大きく外してしまったから

こういう事態になったのでしょう。

コロナを事前に予測出来た人はいません。

なので仕方ないところもありますが、

例えばあなたの給料が仮に

1年間停止されても家計は大丈夫なのか?

というのは事前に考えておいて

損はなさそうです。

1年あれば失業保険のその場をしのぎ

転職活動をするにも時間があるので

危機的状況を脱却できるかも

しれないからですね。

とはいえ...

この記事に辿り着いている人は

大きな失敗をすることはないと思いますが

(お金のことが何らかの理由できっと

気になっているということから)

家を建てる方のほとんどが実際は、

オーバーローン(借りすぎ)に

なっていると予測されます。

どうしてそうなるのでしょうか?

借入金額シミューレションは大盤振る舞い?

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「え?ほんとにそうなの?

間違ってない!?」

あなたはシミュレーションに数字を

入れて診断ボタンをクリックすると

きっと驚かれることでしょう。

例えば住宅ローンシミュレーションと

検索をすると、

ご丁寧に”広告”が上位に並びまして

いずれに銀行のページに飛びます。

私が検索した時にたまたま出てきた、

”イオン銀行”のサイトに行ってみます。

そうするとシミュレーションボタンがあります。

そこをクリックすると、

『お借入金額 クイック診断』

なるものがあります。

便利な時代ですね。

例えばでは年収を500万円としましょう。

次に返済年数を入れるところがあるので35年としましょう。

入力はこれだけ。

結果は、3,020万円~4,030万円と

出てきました。

細かい話をするとあなたが既に

借りている別なローン(自動車など)や

勤め先、勤続年数などによって

実際に金額が計算されるのですが、

ここで驚くことがありませんか?

そうです。

年収500万円でも場合によっては、

4,000万円も借りれるのです。

※どこの銀行もおおまかな計算は一緒。

イオンの変動金利で計算すると、

月々の返済額は約103,000円。

銀行も貸してくれるし、

4,000万円も借りた割には

10万円くらいなのね。

それならいけるかも。

今は低金利ということもあり、

借入が過多になる傾向があります。

多くの人がここまでで計算を終え、

例えば以下のようなものはあまり

見ていないように思います。

それは金利が1%上がれば、約12万円の返済。

金利が2%上がれば、約14万円の返済。

という事実です。

そして金利が上がれば景気が良くなり

給与も上がると楽観的な見解な方もいますが

それはもう確実ではないでしょう。

業種・職場による。

結局、景気が良くなってもこの一言だからです。

なぜ、銀行はそれでも貸すのか?

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傍から見るとリスクが多そうですが銀行は

あなたに融資を出すという事実があります。

つまりあなたは信用されている。

だからお金を借りられるのです。

「じゃあ、大丈夫でしょ。」

とここで考えることをやめても

大丈夫でしょうか。

これは定かではありませんが、

それでも銀行は何故貸すのか?

を考えてみると、

”家はなんとしても手放さない”

という心理的側面も作用しているようです。

私はローン返済は返済能力以上に、

払っている途中でのメンタル面の感じ方を

重視してコンサルティングをしています。

NHKの特集でもやっていましたが、

”家を手放した時に喪失感が想像以上に大きい”

つまり辛いというのです。

これは私も持ち家を持っているので何となく分かります。

転勤・転職などの外的要因ではなく、

単に自分がローンを払うのがきつくて

もうどうしようもならないという理由で

長く子どもの成長と共に住んできた家を

誰かに売らなければならないとしたら

これはメンタル的に堪えます。。

きっと多くの人がそうでしょう。

だから節約してでもダブルワークをしてでも

何とか家のローンは払おうと普通の人は思う。

よっぽどのことでないと人は家を

手放せない。

だから貸す。

という側面もあるような気がしてなりません。

ローンを払えなくなると売却か差し押さえか

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本当に家計がまずくなる前に、

不本意ながら売って実家にいくか

家賃の安い賃貸に住み替える。

この選択肢を事前に取れる人は、

本当に勇気があって英断をされたと思います。

辛かったと思います。

でも再起のチャンスにかけたのです。

一方でいよいよ打つ手がなく、

売ってもローンが消せない。

買い手もいない。

という状況になってしまうと、

ローン延滞が続くと差し押さえとなり

自己破産となってしまいます。

これは辛いですね。

もしその家が実家の敷地内に

建てた家であったり、

2世帯住宅などであったら更につらい

展開になってしまいます。

実家ごと没収されたり、

実家内の土地建物を没収されるからです。

そこに見ず知らずの誰かが住み始めて

しまうかもしれません。

郊外では実家の敷地内や、

立て替え・リフォームをして同居の

ケースも多々見られますが、

良くないシナリオになった時の

心理的ダメージ・喪失感は

より大きなものになります。

低金利でどの銀行もお金を貸したいし、

GDPに与える影響が大きい住宅投資に

国を挙げて減税や補助金を付けている現在。

あなたが買おうと思ったら、

そのバックアップが計り知れませんが、

結局買った後はすべてあなたの責任。

しっかり返済できないあなたが悪いと

容赦なく粛々とローン契約書通りに

処理されていきます。

ごめんなさい。

今日の話はちょっと怖かったかもしれません。

しかし買う時にはみんなに

お客様として最高の接客をされても

売った後は自己責任だし、

銀行も住宅会社も当然ながら

面倒は見きれないのです。

家を買う借金だけが家賃と一緒とか

よく分からない理由で片付けられて

なんだかライトな感じなっていて

それに私は疑問を感じます。

むしろ人生最大の借金こそ時間をかけて

真剣に考えてみてくださいね。

昆 知宏
新潟住まいのお金相談室代表。新潟の住宅会社の営業マンとして働いた後、売り手の立場ではなく買い手の立場に立って住宅購入の相談ができる場所を作る為に独立した。

保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。

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