10年固定金利を選んだ場合の11年目はどうなるの?

あなたがお昼に入った素敵なレストラン。

選べるランチは3つのメニュー。

・梅コース780円

・竹コース980円

・松コース1,980円

このときあなたはどれを選ぶでしょうか?

このように提示されるとなんとなく真ん中の竹コースを選択したくなりますよね。

すぐに決められないけど極端なものは嫌だというのは人の深層心理にあるものです。

これを『松竹梅理論』というのですが、あえて安いのと高いコースを提示することによって中間のコースを選択してもらうのは飲食店ではよくある戦略の一つです。

竹コースを一番売りたいのだけど、竹コースだけのラインナップではあまり売れないので、あえて比較対象となる梅と松を用意する。

手間は増えるけどその方が、全体の利益が上がる。

こういうわけです。

話が反れてしまいましが、住宅ローンにも似たような金利タイプがあります。

それは変動金利でもない、完全固定金利でもない。

10年固定金利です!

10年固定金利ってどうなの?

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あなたが住宅ローンを組むときもこれから挙げる選択肢できっと悩むことになります。

・変動金利

・10年固定金利

・完全固定金利

この3つです。

松竹梅のようですよね。

2021年3月現在、新潟の地方銀行での取り扱いでの金利帯を見ていくと

変動0.725%

10年固定0.80%

完全固定1.35%(フラット35)

こんな感じの金利帯となっています。

表面上の数字を見てしまうと、変動とそんなに変わりないし完全固定よりも結構安い。

ちょうど中間に位置する10年固定をなんとなく選択したくなりませんか?

キングオブ無難。

大きな欠点もないように思える10年固定金利ですよね。

しかし多くの家計では10年固定金利がベストになることはあまりありません。

それってどうしてでしょうか。

10年固定期間特約つき、変動金利ローン

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10年固定金利って聞くとなんとなく”固定”という言葉が先行して安心感がありますよね。

でもこれが大きな間違いです。

10年固定の正式名称は、10年固定期間特約つき、変動金利ローン。

つまり変動なのです。

住宅ローン返済は35年で組まれる方が最も多いわけですが、

35-10=25年間は、変動金利の住宅ローンとなる。

この事実を忘れてはなりません。

35年に対して25年というのは全体の約70%を占めるわけですから分かりやすく表現すると70%の期間は変動ローンというのが10年固定ローンの正体とも言えるのです。

※35年返済時

11年目以降はどうなる!?ポイントは基準金利

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10年経過後にその金利がどうなるかを知っていますか?

もちろん銀行ごとにルールが異なるわけですが大原則は一緒です。

10年経過後は銀行が定める『基準金利』という金利も自動的に決まります。

例えば第四北越銀行の例を見ましょう。

第四北越銀行の基準金利は2021年3月現在のものをみると、

・変動金利2.725%

・3年固定2.150%

・5年固定2.200%

・10年固定2.400%

となっています。

あれ?いつも見ている金利よりもずいぶん高い金利ですね。

というのもあなたが日ごろから目にしている低金利はキャンペーン金利なのです。

基準金利が本来の住宅ローン金利となるのです。

話を戻して11年目にどうするかというと、それぞれの中から再度選択する形になります。

例えばもう一度10年固定を希望する場合は、基準金利2.400%となります。

この金利は毎月変化するので10年後にどうなっているかは全くわかりません。

上がっている可能性も大いにあり得ます。

そしてこの基準金利から給与振り込みをしていたりいろんな条件を満たすと最大で1.0%割引いてくれます。

つまりあなたが本日ちょうど11年目を迎えていてまた10年固定を選びたい場合これまで0.90で借りていた10年固定金利が、2.400%から最大1.000%引かれて1.400%で新しく始める。

こういうわけです。

今よりは0.5%も上がるのでそれなりのインパクトがあります。

10年固定がベストになる家計は少ない

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私がベストな住宅ローンを導き出すときも、10年固定がベストになるケースはそう多くはありません。

実質全体の30%の期間した固定されてなくて70%が変動になり11年目に上昇が確実。

こう表現すると頷けますよね。

が、しかし、

10年固定が一番しっくりくるケースというものも当然存在します。

それはどういうパターンかというと

一つ目は、

住宅ローン減税狙いで1%より低金利で10年固定を組みローン減税終了とともに全額ローンを一括返済する方法です。

現金をたくさん持っている方は有効でお医者さんや社長さんがよくする方法です。

私もこれまでに何組かの該当者にこのパターンを提案したことがあります。

ただしこのケースでは現金量次第では他にも有利な方法もあったり、

10年以内に金利が上がらないことにかけて変動金利で勝負をする方法も存在します。

もうひとつは、あなたが公務員か上場企業にお勤めであれば数千万円の退職金が読めますよね。

そして今現在あなたが40代であれば退職金までは10年ちょい。

返済自体は35年でとりあえず組んでも、10数年後の退職金で繰り上げ完済するやり方です。

60歳時に大量の現金を失うことになりますがライフプラン上問題なければ10年固定は有効な選択肢となります。

住宅ローンって深いですよね。

一般的には10年固定が有利になる家計は少ないというのもなんとなくご納得いただけたのではないでしょうか。

なんとなくで選択しやすい10年固定ほどライフプランをしっかり作りこみ必要がありますよということです。

金利が上がらないことに賭けるなら初めから変動。

金利が上がることが怖いなら初めから固定。

このほうが功を奏すことが多いでしょう。

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昆 知宏
新潟住まいのお金相談室代表。新潟の住宅会社の営業マンとして働いた後、売り手の立場ではなく買い手の立場に立って住宅購入の相談ができる場所を作る為に独立した。

保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。

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