高騰化する住宅とマイナス金利の落とし穴

10年前の土地情報を見てとにかくびっくり!

今日の話題は、土地相場の話です。

10年前というと私は、

住宅業界への転職をちょうど

考え始めていた頃です。

とはいえ住宅業界の知識は

ないに等しかった私は、

住宅会社に入社前から即戦力となるため

”土地博士”になる決意を固めました。

土地博士とは何かというと、

・会社内で一番土地に詳しい人になろう

・ライバル会社の営業マンよりも土地に詳しくなろう

・不動産屋さんよりも売地に詳しくなろう

こんな目的がありました。

家を買う人は土地探しから始める人が

半分くらいの割合でいて、

土地を見つけることができれば

そのまま家もお願いしてもらえる

確率が高いと思ったからです。

営業マンが頑張って土地を探してくれて

その土地が気に入ったら、

あなたはその住宅会社で話をきっと

そのまま進めますよね。

「土地を探してくれてありがとう。

でも家は他の会社で考えるからお疲れ!」

なんて言うことは結構メンタルが

強くないと厳しくないですか?

(私がお客さんだったら言えないなあ...)

あなたはどうでしょうか?

実際これはその通りで住宅会社が

熱心に土地を探してくれるのは、

そのまま成約になる確率が高い

からです。

そこで私は売地のすべてを

データベースにまとめて更新の度に

アップデートしていきました。

そうすると売れる土地や売れない土地の

傾向が掴めてくるのです。

お客さんにフレッシュで説得力のある

情報提供ができるようになりました。

でも、よくよく振り返ると

土地探しと住宅会社選びって

本来は別々な事ですよね。

私は今は第三者の立場として

土地探しのお手伝いもすることが

ありますが、

やっぱり土地を探す人と

住宅会社の人は別々であったほうが

気持ちよく取引できるのかな

と個人的には思います。

そこは高い買い物ですから本来は

情に流されず考えるべきですよね。

10年前の相場表を見てみると

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今日の話はその話題ではなくて、

土地の相場の話です。

先日10年前に私が作った資料を

パソコンから見つけました。

懐かしいなあ..と思いつつ、

まずは土地の価格の安さに

びっくりしたのです。

今では大人気の中央区

鳥屋野・大島・親松地区で、

なんと坪単価20万円代半ばの

土地がゴロゴロ...。

40坪前半なら驚異の1,000万円以下。

中央区できれいな分譲地が

1,000万円以下で買えるなんて

今ではあり得ないのですが

当時は決して無理ではありませんでした。

わずか10年で凄い変化です。

今では鳥屋野・大島・親松地区は

坪単価30万円代が当然となっています。

率にすると20%以上の華麗な上昇。

私が住宅会社の営業をしていた時

鳥屋野南ニュータウンでは、

売り出し当時40坪前半の土地が

900万円後半からありました。

当時担当していたお客さんが

この土地を購入したわけですが、

今考えれば衝撃的な安さだった...

というわけです。

東区の駅近や亀田だってそうで、

当時は高いなあと思っていた

1,000万円ほどの分譲地も

今では20%を優に超える値上がりを

しておりこの10年で全体的に

土地の価格が大きく上がったのことを

実感させられます。

さらに郊外も上昇傾向

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一般的に人気なのは、

・中央区全般

・東区全般

・西区駅近、バイパス近

・亀田→新津の駅近

このあたりの土地です。

特にこのエリアの上昇は顕著で

少子化や空き家問題もなんのその

交通アクセスが良い住宅地は

下げる気配がありません。

もっと郊外でも条件のいい土地は

取引価格で上昇に転じています。

私は上記のいずれも該当しない

郊外に住んでいるのですが何と

土地価格は上昇に転じています。

買った当時は元々安い土地だし、

これからも目減りする一方だろうと

資産価値については一切期待して

いなかったので何とも意外な展開です。

土地の価格というのは、

徐々にコツコツ上がっていくし

2回も3回も買うものではないので

値上がりが分かりづらいものです。

しかし10年前のデータと照らし合わすと一目瞭然。

土地価格は条件の悪くない土地は

いつの間にか10~20%の取引価格上昇。

土地と同じく建物だって10年前は

2,000万円で建てられてた家が今では、

きれいに10~20%上昇に転じているのです。

■10年前

中央区の郊外で土地1,000万円

建物2,000万円。合計3,000万円。

■2020年(今)

土地1,300万円、建物2,300万円。

合計3,600万円。

全く同じものを買ってもこんな感覚です。

20%も割り増しになった土地建物

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それに比例して、

では給料は20%上がったか?

当時と同じ基準・年齢で給与水準が

20%も上がったかというと、

答えはNoですよね。

経済の理論上は、

これだけ物の価格が上がれば

それに比例して収入も上がるはず。

※教科書で習ったインフレというやつですね。

しかしそんなことはありません。

物の価格は上がるのに比例して

給与水準が上がってこず、

平均給与の伸びも鈍化傾向です。

つまり収入に対して支出の割合が

増えていることになり、

住宅取得の難易度は10年前よりも

上がっていると言えます。

しかしながら一方で、

それを住宅価格の上昇をかき消して

くれる出来事もありました。

それは何だと思いますか?

.....

マイナス金利政策の錯覚かもしれない

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それは、マイナス金利政策による

住宅ローン金利の低下です。

10年前と比較して住宅ローンの

金利は大きく下落しており、

物件価格は上がっても

住宅ローンの月々返済額は

そう変わってないということです。

つまり借金が軽く感じるという錯覚です。

それもあって

平均給与が上がってなく

物件価格が上がっていても

家を買える人は多いのです。

しかしここで考えてみて下さい。

もし金利が動いたときにどうなるでしょうか?

金利が低いおかげで何となく

曖昧になっていた住宅取得の難易度が

金利が上がるとその化けの皮が剥がれ

一気に本来の難易度に戻ってくるのです。

さらに10年前ではほぼ借りれなかった

諸費用分や家具家電分までも

今では住宅ローンに含めることができます。

いわゆる頭金ゼロのことを

フルローンというのですが、

土地建物価格以上にローンを組む方が

とても多くなってきました。

金利が低いので月々の返済額は

多く借りても低く見えるのですが、

これで金利が上がってしまったら

家計の暴れ馬となってしまうでしょう。

つまり何が言いたいかというと、

・物件価格はここ10年で大きく上昇している

・しかし平均給与の上昇は釣り合ってない

・住宅ローン金利が低いから安く見えるだけ

というように住宅取得は以前よりも

リスクが増してきているということです。

PS

特に、、、

・変動金利

・フルローン(家電家電や諸費用も全部借り)

で予定している方は、

無理がないかを事前に知ることは

注意が必要です。

10年前はフルローンというだけで

銀行ローンが通りにくかった。

(まず通らなかった)

こういう事実がありました。

つまり銀行が返済できないだろうと

見ていたのです。

今は何でもかんでも貸してくれるように

なりましたがそれはあなたにとって

本当に良いことなのでしょうか。

新潟住まいのお金相談室では、

「いくらまで借りられるか?」

というスタンスではなく、

「いくらまで返せるか?」」

というスタンスで考えていますので

住宅ローンに不安がある方は、

相談にいらしてください。

昆 知宏
新潟住まいのお金相談室代表。新潟の住宅会社の営業マンとして働いた後、売り手の立場ではなく買い手の立場に立って住宅購入の相談ができる場所を作る為に独立した。

保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。

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