なぜ予算オーバー?住宅打ち合わせの秘密

「住宅会社には予め自分たちの予算を開示したほうがいいのでしょうか?」

先日相談者の方からこのような質問をいただきました。

例えばあなたの住宅予算が2,500万円だったとした場合、『正直に相手に伝えたほうがいいのか』『それとも伝えないほうがいいのか』を悩みませんか?

正直に伝えるともっと安くできるのに予算一杯で提案させそうな気がするとか、いいも悪いもその予算に引っ張れそうで微妙が気がするとか、確かにそれは一長一短です。

今日は私が業界で働いてた経験を元に【予算を伝えるかどうか問題】について書いていきたいと思います。

家づくりには2通りの進め方がある

家づくりの通常の流れはこんな感じです。

・お客さんの要望をヒアリング

・それを元にプラン(図面)を描く

・見積もりを出す。

ここまでは通常の流れなのですが、進め方には2通りあります。

住宅会社の考えによってなんと真っ二つに分かれるのです。

■その1:要望重視型

これはあなたの希望を全部聞き取り、それを元にプランして、その通りに家を建てた場合の見積もりをまず提示する方法です。

この方法のメリットは、予算に委縮せずにまずはあなたの本当に作りたい家が実際に『いくらで建てられるのか?』を知れることにあります。

しかしご想像の通りですが、希望のまま伝えたら予算1,000万円オーバーなんていうのは良くある話。

私は以前営業をしていたときは、このスタイルでした。

営業っぽく言うと、「あなたの希望を叶えるためのお手伝いがしたい。」ということです。

なので「予算を上げてでも本当に欲しい家を手に入れましょう。一生で一回しか家は買えませんよ。」となるわけです。

実際には資金調達が可能な方は、数百万円の予算オーバーでも、出してくれる方の方が多かったです。

なので売り手から見れば、提案を勝ち取って会社の業績を上げるというこの方法は、間違っていないのかもしれません。

この方法の最大のデメリットは、本当に「ない袖は振れない」のであれば予算を下げるしかなくなくなり希望100%の建物からただひたすらに要望を削っていくだけになるので家づくりがつまらなくなりがちということです。

■その2:予算重視型

一方でもう一つは、あなたが伝えた予算を最初の提案から守ってくれるという進め方です。

神のような会社ですよね。

この方法のメリットは、とりあえずあなたが想定している予算を守ってまず提案してくれる可能性が高いということです。

しかしデメリットも明確にあり、最初から予算を守ってくれるという安心感はあるのですが、そのプランがあなたの希望に沿っているものになってるかどうかはまた別な話になります。

例えば、家に対しての希望をあれこれお伝えしたものの、実際の提案図面を見ると予算の関係で勝手に削られているものが多い・・・という感じです。

住宅会社側からすれば「予算を守ったんだからそりゃそうだろ」というところなのですが、あなたはきっと納得できるものではないであろう可能性が高いです。

これはもちろん提案する住宅会社側も分かっているので、競合がある場合は住宅会社側としても予算ばかり気にしていては、あなたに魅力的ではないプランで他社に負けることは重々承知です。

予算を言っても結局のところ10%増しくらいで提案されるのが多いはずです。

この時によくある提案方法が、希望予算は守ったけれど『外構・エアコン・カーテン等は別』という場合です。

「え?それじゃ住めないじゃん。」

というところなのですが、住宅会社も何とか自社を選んでもらうために頑張っていろんな見せ方をするものです。

あなたはどうすればいいのか?

結局のところ予算を伝えても伝えなくても最初は予算オーバーになる可能性は高いということです。

最近流行っている値札が付いている規格住宅もやはり結局予算オーバーするケースが目立ちます。

色々と妥協すれば確かに予算内に入るのですが、どうしても欲しいオプションや設備はありますからね。

このように家づくりを考えている方のほとんどが、自分の予算と希望に明確にズレがあります。

しかしあなたの家に出せる上限は決まっているわけですから、ここから打ち合わせを重ねて、最終的にはどこかに着地をします。

そうでないと家が建ちません。

家づくりは最初の提案でまず「思ったより高い!!」と驚いて、そこから現実的な予算に近づけるための打ち合わせを重ねていくというのが多くの方がメインとして行うことになると思います。

妥協ができなければ大幅に予算オーバーをする可能性もあり、私の経験値では当初より予算オーバーして契約する方がほとんどでした。

つまりあなたの担当者とは、打ち合わせを重ねる回数が何度もあるし、時には希望を削る打ち合わせばかりで心が折れそうになるかもしれません。

これは売り手にとってもそうで私が営業をしていた時にも、途中過程の打ち合わせは辛かったです。

毎回あれもできない、これもできないでは、楽しくないですよね。

しかし限られた予算で少しでも希望の家づくりに近づけられるように、家が出来た時に笑顔でいてもらえるように頑張っていたなあと昔を思い出しました。

家づくりはだいたい予算オーバーになるものであって、現実的な打ち合わせを何度もできそうな信頼できる会社を見つけることが全てかと思います。

そういった打ち合わせを面倒がってしまう担当者や会社は避けるべきですね。

家づくりの核はここかもしれません。

PS

あなたの住宅予算を決める【根拠】をしっかりと持っておきたい方はぜひマイホーム予算診断をやってみてくださいね。

あなたがなんとなく決めた予算は現実に沿っていない可能性が高く、明確な予算ラインが分かっていればよりよい住宅を手に入れられる可能性はぐっと高まるはずです。

昆 知宏
新潟住まいのお金相談室代表。新潟の住宅会社の営業マンとして働いた後、売り手の立場ではなく買い手の立場に立って住宅購入の相談ができる場所を作る為に独立した。

保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。

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