無理のない住宅ローンを組むポイントとはなんでしょうか?。
書籍やテキストを見ると、よく書かれている記載があります。
それは、『年間返済負担率』。
住宅購入でリスクを取りたくなければ、
・住宅ローンは固定金利で借りるのが望ましく、
・かつ年間返済負担率も25%以下にすればいい
ということがよく書かれています。
これは大いにその通り。
ですが、現実的にはどうなのでしょうか。
ムリのない借入額を導き出す
年間返済負担率って何?
そもそも年間返済負担率とはどういう意味かというと、
年収に占める1年間の住宅ローン返済合計額の割合を表します。
総返済負担率(返済負担率)と呼ばれることもあります。
当然ながら比率が低い方が余裕を持って返済していきやすいです。
そのため、無理のない返済を続けていくための借入額を決める目安として用いられます。
銀行の事前審査では、返済負担率をまずチェックします。
自動車ローンや他のローンがあれば合算。
これから貸し出す住宅ローン金額と併せて、返済に無理がないかを判定するのです。
例えば税込年収 500万円の場合。
推奨されている年間返済負担率が25%以下になる金額を計算すると
・500万円×25%=125万円以下
さらに年間返済額125万円を12か月で割ると、
・1か月あたり 104,100円。
では、今度は逆にこの月々返済
額から借入額を出してみましょう。
毎月101,400円返済、そして固定金利が望ましい。
今月の固定金利1.82%で計算し、借入の限度額は35年返済だと3,228万円となります。
このような感じで計算していくと...
『教科書的な無理のない借入額』
年収500万円 3,228万円以下
年収600万円 3,880万円以下
年収700万円 4,532万円以下
年収800万円 5,153万円以下
※年間返済負担額25%・35年返済・固定金利1.82%の場合
こんなふうに年間返済負担率上での無理のない借入額が導かれていきます。
一般的なムリのない借入額。実際はどうなの?
テキストでは収入に対して25%以下の住居費であれば安全圏と言われています。
果たしてこの考え方は本当に合っているのでしょうか?
あくまでもこれは、今後35年間この収入が維持できるという前提になります。
今30歳の人は、35年後は65歳。定年まで働くなら収入をある程度は見込めますね。
だいたいこの通りで良いかもしれません。
ですが、35・40歳と年齢が増えていくとどうでしょう。
年収を維持できる年数が減ることが予想されますよね。今40歳の私は35年後は75歳。
多くの人は、75歳も収入が今と同程度維持できる? と言われると、不安が強いのではないでしょうか。
無理のない額はどんどん下がっていく、と考える方が自然です。
しかし、単純な計算方法ではあなたが今30歳であろうが、35歳であろうが、40歳であろうが関係ありません。
全て同じ数字となって出てしまいます。
むしろ一般的には年齢が上がった方が年収が上が
そのため、無理のない借入額の産出額も上がってしまうことになりますよね。
「年収の何割までが安全」という考え方は、年齢が増えれば増えるほど全く信用ならない。
このことを押さえておきましょう。
銀行が貸してくれる金額
ムリのない借入額
これは、同じようで全く違うものなのです。
変動金利で年間返済負担率を用いて計算してみる
変動金利はローンを組み始めたときの金利は低いですよね。
したがって毎月の返済額が仮に10万円と一定とするのなら、同じ年間返済負担率25%でも変動金利では固定金利よりも多く借りられることになります。
例えば変動金利0.7%で計算してみましょう。
『テキスト上の無理のない借入金額』
年収500万円 3,873万円以下(固定と比較して+645万円)
年収600万円 4,655万円以下(固定と比較して+775万円)
年収700万円 5,473万円以下(固定と比較して+941万円)
年収800万円 6,182万円以下(固定と比較して+1,029万円)
年間返済負担率25%・35年返済・変動金利0.7%の場合
金利が低くなれば、毎月の返済額が同じでも返済負担率25%なら借りられる額が増えましたね。
お気づきのようにこの計算は「この先金利が上がるかも。」という可能性は全く考慮していません。
ただただ教科書的に計算した結果。
固定金利の想定より645万~1029万も多く借りれてしまうことになっています。
この結果をみてあなたは
ラッキー!じゃあ変動で借りよう! と思いますか?
それとも、え?本当に借りていいの? と思いますか?
ここまで読んでくれたあなたなら、
「貸してはもらえるんだろうけど、ちゃんと返していけるのかな?」
と疑問をもったのではないでしょうか。
金利によって借りられる額は変わる
とても返していけそうな額には見えないのですが、今は低金利下にあります。
なので、銀行はあなたが望めばこの負担率ベースのお金を貸してくれます。
これから金利が上がれば、借りられる額は減ることになります。
ですが、繰り返しになりますが今は超低金利下。こんなにも多くの金額が借りられてしまうのです。
あくまでも借入可能額が『今』ベース。
将来の変動金利上昇や定年後の収入減少、これらを織り込んでないことがちょっと怖いと思いませんか?
銀行審査では「年収に対して返済額がいくらか。」ということが主です。
あなたが他に多くの消費・浪費をしていようが、
子どもがたくさんいて教育費がかかっていようが、
借入額の判定には影響してこないのです。
このような機械的な年間返済負担率では、無理のない額を出すには限界があります。
収入よりも本当はあなたの支出が大事。
家計における支出を踏まえて具体的にシミュレーションしていかないと、本当に無理のない借入金額を導き出すことは難しいのです。
しかし銀行がそこまで介入してくることはありません。
おせっかいで煙たがられるし、そこまで1つ1つの審査に時間を割けません。
こういった事情から、銀行では教科書通りの借入可能額であなたを審査します。
安易にテキストに書いてあるように、「年収に対して25%以下だから安全」だと思うのは危険。
あとで後悔しないために、家を買う前の計画はしっかりと組んでいきましょう。
PS
マイホーム予算診断サービスでは、具体的な支出の聞き取りを行います。
のであなたの家計に無理のない借入金額の算出が可能です。
その金額は思ったよりも低いかもしれません。
ですが、家を建てた後も安心安全に暮らせる住宅購入をあなたが望むのであれば、その額を家を建てる前に知っておくことが大事です。
シミュレーションを作るには思った以上に時間がかかります。
私もご相談者様のシミュレーションを作るたびに、
「銀行が審査の時にここまでするのはやっぱりどう考えても無理だな。」と思います。
この住宅購入ルールを知る前に、家を買わないでください
・私が自宅購入で1,000万円損しかけた実例
・住宅ローンを金利の低さで選んではいけない理由
・なぜ住宅会社や銀行が勧める住宅ローンを組んではいけないのか?
・(保険屋さんが絶対に教えたくない)生命保険のお得な入り方
・住宅展示場や完成見学会に行く前に、絶対にやること
・住宅購入で将来赤字になる家計を黒字転換させた改善点の具体例
・住宅購入後も住宅ローン返済の不安なくお金が貯まる家計を作る方法
などなど、
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