変動金利上昇、そういわれてもピンとこない世代があります。
私のような高金利時代を肌で経験してない世代です。
今の20代~40代前半の方は、「利息が高かった時」を知らない。
私もそうです。
銀行預金ではお金が増えない。
住宅ローンの変動金利は0%台。
ずっとそれが当然でした。
そのため、金利が上がることの実感が湧きません。
上がっていた時代を知らないから、本当にそうなるとは思えない。
あなたもこんなふうに思っていませんか?
しかし、ここにきていよいよ風向きは変わりつつあります。
時代の境目。刻々と近づいているのかもしれません。
住宅ローンの変動金利は上がるのか?
朝のBSテレ東の経済番組『モーニングプラス』を見ていたら分かりやすい解説がありました。
金利が上がるまでのステップを時系列で解説したものなので、ちょっと難しいですが見てみてください。
変動金利があがるまでの8段階
金融緩和正常化と住宅ローン金利の関係がポイントです。変動金利が上がるまでには以下のステップを完了する必要があります。
①長期金利操作の修正
昨年2022年はまだ①すら作動するかどうかという状況でした。今は既に金利操作幅の拡大が事実上実行されています。
②固定金利上昇の可能性
①が事実上実行され、固定金利は既に上昇傾向にあります。しかし、本番はまだまだこれからでもっと上がっていくことが予想されます。
③長期金利誘導水準の引き上げや、長期金利操作の撤廃
こちらも事実上実施済み、操作の撤廃はまだですがそう遠くない未来に行われる可能性があります。
2023年9月段階では、③の段階にいます。
④固定型ローン金利がさらに上昇する可能性
③の実行が完了すれば、昔のように固定金利が2%、3%、4%はあり得ます。
ちなみに私が家を建てた10年ちょっと前のフラット35の金利は2%後半でした。
⑤マイナス金利解除
マイナス金利解除については2024年2月が有力と日経新聞で記事になっていました。
⑥一部銀行で新たに借りる人の変動型ローンが上がる可能性
マイナス金利が解除されれば、変動金利の新規優遇幅が縮小されて、新しく借りる・借り換える方は今よりもスタート時に金利が高くなることが予想されます。
⑦ゼロ金利政策解除
海外ではとっくに解除になっていますが、日本も刻々とこの時が迫っているような雰囲気になってきました。
⑧多くの銀行で変動型ローン金利が上がる可能性
ここまでいくと、住宅ローンの基準金利も見直されて、既に変動金利で借りている人の金利も上がることが予想されます。
変動金利が上がるまでには、これらの過程を踏む必要がある、というわけです。
今の段階は?いうと、もう③の途中。しかも④が起き始めている…というところまで来ています。
そして、来年『⑤マイナス金利解除』が実行と言われています。⑤の後は思ったより早いスピードで、今後進んでいく可能性が出てきます。
海外の研究機関の予測
海外では日本の金利はどう予測されているでしょうか?ドイツやアメリカの専門機関のレポートを見ると、日本の金利はやっぱり上がるという結論が多いです。
私もそう思います。
金利が上がるまでの段階は、どれも予想にすぎません。ですが、時期も具体的に踏み込んでいます。
海外ではゼロ金利解除はとっくの前に終わっていて、マイナス金利は「絶滅危惧種」と揶揄されています。
日本と同じくずっと低金利だったヨーロッパは、住宅ローン金利の上昇により住宅ローン破綻件数が増加。
不動産価格が高いうちに売りに出そうという人が増え(投機目的な人は特に)、中古物件が飽和し価格が下落。
住宅価格の2009年のリーマンショック以来の下落が既に起きているようです。
※参考元:House prices see biggest annual fall since 2009 - BBC News
日本でもいずれ変動金利が上がってくれば、同じような現象が起こるかもしれません。
金利が上がると返済額はどうなるのか?
変動金利で組んでいた人は、金利が上がると毎月の返済額が上がります。
例えば第四北越銀行の変動金利0.725%で3,500万円の住宅ローンを35年返済で組んでいたら…。
当初の返済額は約月々94,000円です。(ボーナス返済なし)
金利が仮に5年後に1%上がると、月々の返済額は約108,000円。
金利が仮に5年後に2%上がると、月々の返済額は約124,000円(※計算上)
となります。
(※計算上)というのは、変動金利で5年後に金利が2%上がっても、返済は124,000円ではないのです。
実際は、約118,000円となります。
6,000円の差額がありますよね。これはなぜというと、多くの銀行では『変動1.25倍ルール』を設定しています。
変動金利の1.25倍ルール
今までの毎月返済よりも1.25倍以上。こうなると「さすがに返すのがしんどいだろう」と銀行が救済措置を取ってくれるからです。
ここで勘違いしてはいけないのは、1.25倍以上になっている分※(今回の例では6,000円)は負担しなくていいわけではない。ということ。
救済措置で支払えていない利息は、その先の5年分に繰り越される形になります。
変動金利なので、もちろん一度上がってもまた下がってくる可能性もあります。
そうなれば一番良いのですよね。ですが金利の上昇傾向が続くと、1.25倍縛りの影響で「いつまでも支払えない利息」が出ます。
これを『未払い利息』と言います。
もしこのように金利が短期間で急騰した場合、繰り上げ返済をしない限り元本が思うように減りません。
毎月の返済額が上がっていて大変。その上さらに、繰り上げ返済までしないとと借金が減らない。…となると結構大変ですよね。
これが変動金利のリスクとなるわけです。
金利が上がると借りる時はどうなるか?
金利が上がると単純に借入可能額が減ります。
年収に対して、借りられる額の限度は金利と連動します。
そのため今までのように、希望額がすんなり通るというパターンは減るでしょう。シビアに査定されることが増えることが予想されます。
よって、今後頭金ゼロのフルローンは厳しくなると思われます。
借入可能額がシビアになった分、借入希望額との差額を現金で持ち出す必要が出ます。これはマイナス金利実行前である10年前くらいには当たり前でした。
当時住宅の営業だった私は、お客さんのローンが思ったより希望通りにいかないのを見てきました。
『家を買うなら最低10~20%は頭金が必要』
こんなことが当たり前になる時代があったのです。変動金利上昇によって、この状態が再来する可能性は、大いにあり得るでしょう。
反対の見方をすると今年、来年はまだお金を借りやすい(というか貸しやすい?)チャンスとも言えます。
人生で一番の借金をする前にそのリスクと今後の見通しについて、人任せ(売り手任せ)にしないことをおすすめします。
PS
金利が上がった後の未来について。
もちろん住宅ローン以外にも影響が出てくる部分は多いことが予測できます。
今回は長くなったので、また別記事で考察していきたいと思います。
この住宅購入ルールを知る前に、家を買わないでください
・私が自宅購入で1,000万円損しかけた実例
・住宅ローンを金利の低さで選んではいけない理由
・なぜ住宅会社や銀行が勧める住宅ローンを組んではいけないのか?
・(保険屋さんが絶対に教えたくない)生命保険のお得な入り方
・住宅展示場や完成見学会に行く前に、絶対にやること
・住宅購入で将来赤字になる家計を黒字転換させた改善点の具体例
・住宅購入後も住宅ローン返済の不安なくお金が貯まる家計を作る方法
などなど、
今まで対面セミナーのみでお伝えしてきた、新潟で家を建てる多くの人が知らない
「初めての住宅購入で失敗しないためのお金のルール」をオンラインで初公開!
オンラインセミナー受講は完全無料です。下記のボタンをクリックしてお申込みください。
保険や住宅を売ることを目的にしない住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして、100%顧客サイドで顧客の理想とする家を安心・納得して買えるようにアドバイスを行う。そのスタイルが支持され、新潟県全域から年間100件以上の相談依頼を受けている。